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冬に向かって、ノロウイルス対策を(登録08.10.3)
写真はイメージです

ノロウイルスは、二枚貝、特に生ガキが原因と認識している人が多いが、現実は違う。もう、そこら辺にいくらでもあるものだ。

黄色ブドウ球菌は、人の怪我、鼻の穴の中、吹き出物、手荒れ、フケなどに居て、それが食品に付着したり落下し、6℃以上で増殖を始め、食中毒の元になる。ということは人が関係するわけで、危険は人とともにある。ノロウイルスも全く同じで、人がいるところには常に危険が存在する。

ノロウイルスは、もともとはSRSV、小型球形ウイルスと言っていたが、2002年に国際ウイルス学会にてこの名称が付けられた。食中毒統計にも、ウイルスからの食中毒が入れられるようになった。

細菌とウイルスの違いは、大きさが、ウイルスは細菌の数十分の一から数百分の一と非常に小さいこと。もう一つは、細菌は食品中で自己増殖するが、ウイルスは出来ない。ウイルスは、人に入ったあと、人の腸管内で増殖をする。

もともとは二枚貝にあるのだが、それを人が食べると、人の中で増殖をする。劇的に数が増えたノロウイルスは、人の大便と一緒に出て来る。用便後、トイレットペーパーを使って拭いても、かなり重ねないと(数十枚重ねることが必要という結果がある)人の手に浸透付着する。この人が手を洗わなかったり、きちんと洗わないと、ノロウイルスは手に付着してしまう。これもある試験と聞いたが、ひどい場合は億単位のウイルスが手に付いたままという。

ある食パン工場で、学校給食用の黄な粉パンを製造していた。黄な粉は、黄な粉と砂糖を混ぜ、それをパンに付けるのだが、黄な粉と砂糖を混合する作業者が、トイレでよく手を洗わないで、素手で混ぜたようだ。ノロウイルスがしっかり混ざった黄な粉を大量のパンに付け、集団食中毒になった。

ノロウイルスで食中毒になるためには、十個から百個程度人が食べればいいという。億単位のノロウイルスを黄な粉に均一に混合させれば、1個の黄な粉パンで、体力のない子供に食中毒をさせる量としては十分だろう。

製造作業をする人は、指輪をしてはいけないルールになっている。この理由として、異物混入をあげているところも多い。確かにまれにはそういうこともあるかもしれないが、それより危険なのは、指輪のすき間に入り込んでいる細菌やウイルスである。製品をパッケージしている人が、ノロウイルスが付着した指輪をしていて、それで食中毒になった事例もある。

毎年の食中毒統計を見ると、ノロウイルス食中毒は、冬場に圧倒的に集中している。2004年のデータを見ると、12月に一気に起き、翌3月まで猛威を振るい、5月まで影響がかなり残っている。2003年のデータも同じような状態だった。であるから、11月までに、ノロウイルス対策を徹底しておく必要がある。人は時間が経つと忘れてしまうので、毎年11月は、ノロウイルス対策強化のスタートの月にすべきだ。

1.認識

従事者全員に、ノロウイルスの危険性を認識させる。これが基本だ。

ただ単にこうしろと言っても、恐ろしさがわかっていないと、実施がいい加減になる。ノロウイルスの知識、危険性、もし食中毒を出したらどういうことになってしまうかを、恐怖を与えてもいいというくらいの姿勢で教える。

さらに、毎日の認識徹底のためにも「ノロウイルス注意報」「手洗い徹底」といった標語、ポスターを併用したらよい。

2.手洗い施設の強化

冬になると水は冷たい。冷たいと手洗いを早くするようになる。ノロウイルスが活発な時期に、水の冷たさで手洗いがおろそかになるという効果で、食中毒の危害が急増することになる。湯が出ないところは、出来れば設備したほうがよい。

ノロウイルスは、エタノールや逆性石鹸はあまり効果がない。手洗いはちょっとして、あとは消毒しておけばいいや、となってしまったら、ノロウイルスは工場内へ簡単に進入してしまう。時間をかけて指の間、シワのすき間、爪のすき間など、徹底して洗い流すことが必要だ。

洗剤供給業者や、保健所、インターネットでも、手洗いの手順、マニュアルが色々な形で提供されている。それらの中から選んで、実地訓練をすることだ。

湯、手洗い手順、時間をかける、こと。

なお、ノロウイルスをなくすには、次亜塩素酸ナトリウムが有効だ。又、食品中に入ったものに対しては、85℃、1分以上の加熱が有効とされる。

最近では、ノロウイルス対応の消毒剤がいくつか出てきているので、それに変える方法もある。アルコールよりもコストは高くなるが。

3.手洗いの実験をやってみる

どの程度洗ったら、どれだけきれいになっているかを実際にやってみるとよい。スタンプ検査やATP検査などがある。

ATP測定の数値は、場所によっていろいろだが、食品が直接接触する場所で500以下とか、それ以外のところでは1500以下といったようになる。

人の手は洗う前には汗もかいているのでATP測定しても意味はないが、洗った直後の検査は、どれだけきれいになっているかが数値として出て来る。

ある工場での衛生教育の時、代表一人を選んで、いつも入場前に行うように手洗いをしてもらい、ATP測定器で検査したら、3万以上の数値になった。手洗いも検査も全員が見ている前でやったのだから、皆びっくり。ちゃんと洗っているにも係わらず、こんな数値が出たのだから。

そこですぐにもう1回洗ってもらった。今度はさっきよりも慎重に時間をかけてやったが、数値は7千台。まだ駄目だ。そこで3回目の手洗いをしたら、やっと3千台になった。この実験で、全員がよく手洗いをするようになった。



著作:株式会社 フーズデザイン 加藤光夫