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トレーサビリティーによる不正の感知(登録09.1.18)
写真はイメージです

ミートホープから始まり、事故米、メラミンと、立て続けに事件が起こっている。

まじめに仕事をしているところが、これらの事件に巻き込まれ、大変な事態に襲われている。資金力がある企業は持ちこたえられることができるかもしれないが、そうでないところ、中小零細は、対応策がないまま中には立ち直れないところも出ている。

不正が発覚するたびに、多くのメーカーが販売先からの問い合わせに対応しなければならない。大変な負担だ。

事故米、メラミンは、予想できない事態だったが、このようなことを防止できる方策は何かないのかと、問い合わせも多い。

これに対し、トレーサビリティーとシミュレーションである程度の感知ができるかもしれない。

ISO22000の「回収」では、回収手順を決めなければならないと同時に、効果を確かめるため「回収訓練」をする必要がある。訓練をすると、手順の不備が発見されたり、回収のスピードアップや効果をよくすることにもつながる。

回収はそのままトレーサビリティーにもつながる。

回収した製品の問題が自社工場内でのものならそれを是正することになるが、原材料由来ならば、その原材料あるいはロットまで特定し、再発防止につなげなければならない。トレーサビリティーが重要なのはこの点だ。

トレーサビリティーは事故があるなしにかかわらず、製品の原材料がわかるようにすることだ。安全性の構築だ。そしていざというときに役立つ。

では、トレーサビリティーはどこまで追跡できるようにしておけばいいのか。

ISO22000では「直接の供給者から納入される材料及び最終製品の最初の配送経路を明確にできること」とある。要するに仕入れたサプライヤーと、販売したところがわかればいいと言うことになる。それなら、そのサプライヤーが仕入れた先はいいのか? となってしまう。しかし、この背景には、そのサプライヤーもISO22000を構築していれば、その先がわかるし、その先、さらにその先も構築していれば、どこまでも芋づる式に追跡できる、という面がある。

究極は、すべての食品企業がISO22000あるいはこれに準じたシステムを構築すれば、どこまでも追跡できると言うことになる。

これは現在では無理な話になる。しかし、これに近いことができないことはない。

トレーサビリティーのシミュレーションをするのだ。

まず、今製造している製品を一つ選ぶ。そしてその原材料のサプライヤーすべてに、トレーサビリティーシミュレーションを「安全構築のため」と、お願いする。

原材料のサプライヤーそれぞれに、その原材料を造るために購入した原材料のサブサプライヤーに依頼をし、そのサブサブサプライヤーに連絡してもらう。さらにその先まで次々に。そしてそれぞれの段階でその原材料(製品)の安全データなり証明書をもらうようにする。

これを行うと、どれかのルートが途中で切れるかもしれない。そこから先がトレース不可能になってしまうかもしれない。そうすると、問題箇所、つまりは問題のあるサプライヤーが出てくることになる。

その企業の製品に問題があるのか、トレーサビリティーの構築方法に問題があるのかはわからないが。

あるいは、安全証明ができない、データが出てこないところに突き当たるかもしれない。また「怪しい」ところ、ルート、サプライヤーが臭うかもしれない、不正か、らしきものが感知できるかもしれない。

メラミンの場合、ある加工食品の原材料すべてのトレーサビリティーシミュレーションをしてみたら、副材料の乳製品→乳製品メーカー→牛乳工場→生産者→仔牛や資材などの購入履歴と追跡していったところで、何かおかしい、変な噂が出てきたのかもしれない。実際にその噂はあったようだ。

事故米では、給食で使っている米、あるいは加工に使っている米をトレーサビリティーシミュレーションしたら、いくつか問屋がつながり、どこかにおかしい、怪しいところが出てくるかもしれない。実際にかなり前に指摘があったという。

今まで原材料を疑わず、そのまま製造に使っていたが、最近の事件で何を信用していいのかわからない事態になっている現在、「疑う」ことが必要になってきたという目に業界すべてが変わってきたので、その視点でトレーサビリティーシミュレーションをやってみたらいかがだろうか。

最初は原材料数が少なく、製造量もそう多くないのを一つ選んでやれば、方法がつかめてくる。シミュレーションが実際のトレーサビリティーの構築につながる。

次第に対象製品を増やしていき、最終的に全製品にしていけばいい。

対象製品を増やしている過程で、複数の製品に使っている原材料もあるだろうから、作業が増えていくばかりとは限らない。

それに、作業自体は、直接のサプライヤーに依頼するだけで、その先の先までわかるのだから、仕事の効率とすればかなりいい。

先の先までのサプライヤーにとっては、自分のトレーサビリティーが構築できるのだから、まじめに仕事をするところにとっては、安全体制の構築になる。

一方、不正をしているところにとっては、どうごまかそうか、頭を使うことになるが、いつまでも不正が続くわけはない。

実は、かなりの製品を購入している小売り組織で実際にこのトレーサビリティーシミュレーションを行ったところがあり、結果、何カ所か途切れるところが出てきた。不正はなかったが、構築方法に問題があり、そこを直したらきれいにつながった。

これを始めると「秘密」として対応を拒否するところも出てくるだろう。

昔はどこに売ったのかを一切話さないところが多かった、特に卸売りが多かった。現在まだそういった傾向があるが、公開しているところはかなり多い。

農産物を原材料にしているあるメーカーでは、8年ほど前「栽培記録」と「農薬使用記録」を生産者に要求しだしたら、最初はほとんどから出てこなかった。しかし最近は8割が対応してくれており、新しく取引をし始める場合にはこの二つの記録がなければできないようにし、理解してくれている。

まじめに仕事をし、安全管理のためのトレーサビリティー構築に積極的に取り組む大きなフードチェーンを造れば、不正は次第にはじき出されていくのではないだろうか。



著作:株式会社 フーズデザイン 加藤光夫