最近のフードサービスの調理システム

2013/05/24 2:11 に 松本リサ が投稿
食肉素材をフードサービスに販売するために、フードサービスではどのような調理システムになっているのかを知ることも必要になる。最近のレストランに入ると、昔からあるガスレンジとグリル、それに電子レンジといった調理器具だけではなく、多くのハイテク調理機器が入っている。最近とは言っても、ここ10年ほどの間に次第に普及してきたもので、コンピュータ業界のように新技術への変換がそれほど早くないフードサービスでは、徐々に浸透してきたといったところである。それらの新しい機器はどのようなものかをご紹介する。これらの機器、システムが入っているフードサービス企業や店舗では、新しい食材、ハイグレードの食材にも興味があるところが多いので、売り込み先のキッチンを見て、集中して商談を進めるところを決める、等ということにもなるかもしれない。

レストランの厨房は、全く新しい方法、調理システムがすでに稼働しており、それは着々と新しいレストランに入っている。土地が高い、メニューが高度化、低価格競争、という状況の中で、外食業界は、食材の合理化、調理の自動化、保温のシステムという技術が出来てきた。

ローストをしたり、焼いたりするのは、今までは、フライパンとコンベクションオーブンが主だった。コンベクションオーブンはローストやグリルに、早くて大変便利だし、フライパンは腕一つで色々な、高度な料理が出来る。

しかし、コンベクションは、ちょっと油断をすると、焼き過ぎてしまうし、扱い方も難しい、技術者がずっとついていないと使えない、したがって人件費、教育、ということを考えるとコストの高いものになる。フライパンも同じである。ローストについては、一番メニューの仕上がりに重要な「焼き上がり肉中温度」を測定するということがなされていなかった。どのようにやっていたかと言うと、焼いているローストの中に、竹串を刺し、それを唇に宛てて、焼き具合を見るという方法である。

長い経験がものを言う。昔は肉中温度計などなかったので、このような方法を行なってきたのであるが、今では数千円で肉中温度計が買える。デジタルで表示される肉中温度によって科学的に調理をする方向にこれからはならなければならない。

今やられている最新の調理は、低温で自動的に行なう方法、コンベクションでも、内蔵された肉中温度計とオーブンが内蔵されたコンピュータとがリンクし、正確に焼く、あるいはコンベクションオーブンと電子レンジが一緒になったもの、コンベクションとスチーマーが一緒になったものなど、すべての方向が、「正確で科学的な調理と自動化」というキーワードになっている。


1.温度計


調理で一番大切なのは、食材の温度である。特に焼き上がりの肉中温度は、焼きすぎれば歩留りが悪くなるし、硬くなる。温度が低ければ生焼けになるわけであるから、正確な温度を計るためには、担当者一人ずつ、そこまで出来なければ厨房に一つは最低おいておかなければならない。

仕上がり状態を見るのに、スープや煮物ならば試食、味見になるが、焼きものならカンではなく、すぐに肉中温度計、とならなければ合理的で、常に変わらないおいしい仕上がりが出来ない。この温度計がかなり普及をして来ている。


2.低温調理オーブン


デリで進んだ米国のスーパーマーケットは、パートでも使えて、安全で、タイマーによって自動調理が出来、夜間に無人で調理が出来る、低温調理オーブン(ハローヒートオーブンというのがある)を中心にオペレーションが行なわれている。

低温調理オーブンというのは、普通のコンベクションオーブンが180℃程度で加熱するのに対し、低温調理オーブンは、120℃というかなり低温で加熱する。この違いがどのようになるかということを表に示すが、よい点というのは、

1)密閉された中で、低温でゆっくり調理するので、歩留りがいい。

2)扱い方が簡単。誰でもマニュアルどおりにやれば、正確な調理が出来る。

3)夕方タイマーをセットしておけば、夜間に無人で自動調理が出来る。昼間と合わせると、24時間使える。人手もいらない。

4)温度がそれほど高くはならないので、安全性が高く、厨房が熱くならない。

という利点がある。

このオーブンで出来る調理は、ロースト、バーベキュー、煮込みが出来、多目的に使える。

大型のブロック肉をローストするには、夕方オーブンをセットしておくと、翌朝には仕上がっている。原料が例との場合にも、解凍することはなく、冷凍庫からだしてそのままオーブンにいれればいい。解凍するとかえって歩留りが落ちる。

煮込みをする場合には、鍋の中に、肉、野菜、調味料をすべて入れ、フタをしてオーブンにいれる。

煮込みの場合、ガスで煮込む場合に、アクを取るという作業があるが、低温調理オーブンにおいては、仕上がった後、オーブンから出すときに浮いているアクを取ればいい。

また、肉をソテーしていれればいいのだが、ソテーしないでもかなりいい状態に煮込みが出来る。したがって、作業の状態によっては、肉をソテーする作業を省くことも可能である。

チキンや小型の材料をバーベキューにする場合には、1〜2時間の短い時間で出来る。そのため、時間がかかるローストや煮込みを夜間にやり、バーベキューなどの短い時間で出来るのを昼間やればいい。

低温調理オーブンの欠点は、時間がかかることだが、夜間の時間をうまく使えば、かえって作業効率は上がることになる。また、低温のため、焦げ目が付かない点については、仕上がった後に焦げ目だけ別に付けるようにする。


3.スモーカー


スモークメニューに人気が出てきている。以前はスモークというと、保存のためだったが、いまではスモークの香を楽しむものに好みが変化している。したがって強い、真黒になるようなスモークは、「体にもよくない」と敬遠されるので、香り程度の軽い、ライトなスモークがいい。

スモークはローストと同じ方法で、それにスモークフレーバーを付ける。スモークフレーバーは、メスキート、ヒッコリー、桜、といったものを使うが、どのようなフレーバーにするかは、店の特長になるので、よく試食をして決めている。


4.超高速オーブン


低温とは逆になるこの超高速オーブンは、普通のオーブンの1/2〜1/3の時間で調理することが出来る。ターボシェフというのが最近出て来ていて、売れ始めている。フードサービスばかりではなく、スーパーマーケットの総菜で、焼き立てのピザなどのアイテムにも使われている。パワーは、細かく、温度と時間を設定できるので、あらゆる調理状況に対応できる。さらに、その設定条件を、付属のコンピューターにかなりの数を登録できるので、設定をしてしまえば、後は食材を入れて、ボタンを押すだけでいい。調理が終わればブザーが知らせてくれる。


5.スチーマー


食材をボイルすると、食材のおいしさがボイルした湯に出てしまう。これがスープになるわけだが、スープを取るのではなく、ただゆでる目的ならば、おいしさが湯にでてしまうのは困る。そこでこのスチーマの登場ということになる。

例えば、チキンをスチーマーで調理すると、歩留りがよく、正確に、しかもおいしさとビタミン、栄養を逃がすことなく仕上がる。野菜もうまく調理できる。

ステーキやハンバーグなどのガロニ(付け合わせ)の野菜を、ボイルするのではなく、スチーマーでやれば、鍋も、湯も必要なく、ただ食材をスチーマーの中にいれるだけでいい。


6.スチーム・コンベクション・オーブン


文字どおり、スチーマーとコンベクションオーブンが一緒になったもので、スチーマーの良さとコンベクションの良さを合わせたものである。最近のレストランに大分入れられてきている。

調理時間、調理温度など、正確に設定することが出来る。ロースト、焼きもの、蒸しものと、かなり広範囲な調理が出来る。スチーマーとオーブンの機能の両方を一緒に使うのが普通の使い方で、それぞれのパワーを調整できる。2つの機能をバランスよくセットすることで、多くの調理を安定して作れる。スチーマーだけ、あるいはオーブンだけの機能を使うことも出来る。


7.オートフライヤー


フライヤーもかなり技術的に発達してきており、機能も便利で安全になってきている。豚カツなどのフライ料理は、油の温度と、揚げる時間が決め手であるから、これを自動化するには、温度コントロールと、正確なタイマーということになる。これも簡単なコンピュータが付いているものが多く、いくつもの設定を登録しておくことが出来る。


8.コンベアーオーブン


インピンジャー、あるいはジェットオーブンというのがでているが、ガス、又は電気のオーブンの中に、食材をバットにのせて、コンベアーで流す。例えばポークソテーならば、食材を提供する皿の上に乗せて、機械の一方から入れると、コンベアーに乗って機械の中を通り、2〜3分程度で調理が終わってコンベアーの出口に出て来る。このシステムだと機械の中に入っている間、別の作業が出来るので、効率が飛躍的に上がる。

本来ピザを焼くところから作られたものだが、ソテー、ハンバーグ、ヤキトリ、バーベキューなどを大量に、流れ作業で調理するのにいい。

鶏卵肉情報センター「養豚情報」00/1月号より
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