惣菜店向けの食材、半加工用食材

2013/05/25 16:39 に 松本リサ が投稿
惣菜マーケットはますます広がりを見せている。これに合わせて、いろいろと新しい関連マーケット、食材原料が伸びてきている。惣菜商品の場合、大きく分けると2つの製造システムがあり、一つはセンターで調理加工をし、それを店に配送するという大手コンビニエンスストアに代表されるシステム。もう一つは店内調理で、食材を店に持ち込み、店内で調理をするタイプである。そして、今人気が出てきているのが店内調理のタイプである。店内調理は顧客にとっては出来立てという魅力があり、特に揚げ物などは店内調理が集客のパワーにもなる。

惣菜店舗で急成長しているオリジン弁当では、店内調理が基本だ。インストアのキッチンで調理したものを大皿などに盛り付けて並べている。ここは新店のオープンの時、特別にチラシなどの宣伝をしないで、オープンの数日前に看板だけ先に出しているだけである。顧客はいつの間にかオープンした店舗を覗いて初めての客になるわけであるが、「店で調理している」と言うのも特別宣伝されなくても入ってみる動機になる大きなものではないかと思われる。
名古屋の「ココグルメ」はコンビニの中に、作って売る弁当屋がある、というタイプの店。センターや工場から惣菜、弁当を運ぶとどうしても味が落ちるところからこのスタイルになったという。キッチンは店内に16平方メートルほどあり、ランチの前と、夕方の前の一日2回調理作業をして、ピークの前に作り立てを陳列する。弁当メニューはどこでも売れ筋のトンカツ弁当、幕の内弁当となどの約10種類ほどの弁当と、コロッケや唐揚げなどの惣菜を20種類ほどである。食材は素材ではなくカットなど半分加工してあるものを使い、フライヤーや電子レンジで調理する。

このような店内調理の流れは、中堅惣菜ショップの多くのところに広がっていき、特にこれから惣菜、弁当ショップを出すところは、今までのショップとの差別化、違いを出すために重要なことになってきた。
ここ数年の間コンビニエンスストアは競争が激しくなってきて、惣菜、弁当の品質が顧客確保の大きなポイントになってきている。しかし、後発のオリジン弁当などは「店内調理」を武器にコンビニエンスストアの顧客を奪っている状況のようだ。
後発の弁当、惣菜ショップはどのような立地が成り立つのかを模索してきているが、コンビニエンスストアの立地と同じところがいいという結論も出てきている。中にはコンビニエンスストアの隣がいいなどという声もある。これは、スーパーマーケットの隣に青果店を出すようなもので、大手のチェーンが慎重に立地調査をしたところに乗ってしまうということである。

こういった背景の中で、では少人数の状況で、中堅弁当、惣菜としては、どのようにして店内調理を具現化していくかは、材料とキッチンのシステムに頼ることになる。キッチンシステムでは、インピンジャー(コンベアオーブン)、オートフライヤー、スチームコンベクションオーブンといった機械化が進んできており、これらを組み合わせてシステムを組めば小さい面積を有効に使ったキッチンが出来る。省力化にも対応する。そしてもう一つは食材の合理化である。

ニチロは業務用の「チルド食品」を発売している。これは、スーパーマーケット、コンビニエンスストア、外食企業向けの店内調理用の食材で、キットになっている。アイテムは、「チンジャオロウスー」「中華野菜うま煮」「酢豚」「肉だんご甘酢あんかけ」「イカ唐揚げとシャッキリ野菜ソース」「わかさぎとシャリ野菜ソース」等や、「おかずのソース」として「中華ねぎチリーあん」「和風野菜あん」「麻婆肉あん」などがある。
牛肉加工販売の北海道の大手、ホクビーは魚介、野菜類の冷凍総菜の開発をしている。北海道産の原料素材を半加工するもので、原料の安心感、国産の高級感を目指す。半加工の内容はカットやある程度の組み立てなどを行い、ユーザーの惣菜ショップ、外食企業のキッチンに入ってから調理をするだけというタイプにする計画。
伊藤ハムは球形のソーセージ「フランク キッズ」を弁当の総菜用としての用途も含めて量販店用に販売している。

半加工原料やキットは、素材、調味料の2つの要素になるが、素材としては、原料の安全性、カットあるいはポーションカットということになる。素材原料の安全性というのは、最近の惣菜弁当ショップでは、有機食材や無農薬食材を中心に使う傾向があり、これが顧客の支持を得ることにもなっている。
東京都町田市の「スペース・ムウ たべものや」は、安全食材をテーマにしており、無農薬・有機栽培の野菜をはじめ、コメや調味料も吟味したものを使用している。東急日本橋店では有機農産物だけを材料に使ったそうざい店「ままかり亭」を作った。丹波のコシヒカリを使ったほうじ茶の香りご飯などが並ぶ。西武池袋店、東武船橋店等は、有機野菜を売り物にしている紀文食品の「東京きゃべつ」をテナントとしていれている。

こういった顧客のニーズに合わせた店が続々とオープンしてきており、「有機」と言うのは惣菜、弁当の重要なテーマになっている。半加工原料を開発するためには、素材のこだわりから入ることは、メーカーが売り込むためにも欠かせないものになりつつある。最も日本ではまだ無農薬や有機栽培の認定基準が整備されていないので、混乱は残るが、整備が進んでいくのと平行して対応していく必要がある。
この点については米国が進んでいて、有機食材を公的な機関が認定したものを「オーガニック」と呼んでいる。既にいくつかの企業が米国の認定されたオーガニック食材を入れだしており、今後米国などからのものと、国産で認定が進んできているものとの2本だてで進むようになるだろう。

カット、ポーションカットは、インストアの制限された環境の中で効率良く調理するための重要なポイントである。しかし、ユーザー側が余りにも規格にこだわり過ぎるとコストが上がるだけになってしまう。スペックの件については、日本はあまりにも細かくやり過ぎる傾向があり、注意が必要である。例えば、重量が規格重量のプラスマイナス10%、というのと、3%というのでは、ロス、技術などの点からコストが全く違ってきてしまう。特に海外から入れようとすれば、規定範囲が1%増えるごとにコストは10%ずつアップするというようなことになっていく。こういったポーションカットのスペックを決める担当者を見ていると、コストや開発のスピードを忘れてしまって、スペックにのめり込んでいってしまうことがあり、結果的に時間がかかり過ぎて時機を逸してしまうこともある。
今後、惣菜、弁当マーケット向けの食材が続々と開発されていくだろうが、重要なことは、見た目のものだけではなく、食材の安全性と、ある程度常識的なスペックと、開発のスピードが重要である。

総合食品「フードライフ」97/3月号より
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