有機農産物

2013/05/25 17:07 に 松本リサ が投稿
自然な食品、安全な食品に対するニーズが急速に高まってきている。同時に、素材の味のいいものが要求されている。これに対応する食材として、有機農産物が売れている。

外食大手のスカイラークグループでは、有機食材の扱いを急速に増やしてきている。最初のスタートは、グループ企業で、有機栽培の冷凍ホウレンソウで、メニューとして出したのではなく、レジの横で持ち帰り用として販売を初めた。これがよく売れるために、メニュー化に踏み切ったようである。

当初、外食では、「有機」をメニューに乗せるには、どの企業においても抵抗があった。なぜならば、一部の野菜などに有機を使い、それをメニューにうたった場合、「それではその有機以外のものは、安全ではないのか?」という反応が怖かったからである。しかし、メニュー化したら、そんな心配はなかった。ホウレンソウ、トマト、レタスを使った有機野菜のサラダはヒットメニューになったが、それが他のメニューへの不安につながることはなかった。

また、初めた理由が、ただ「安全性」ということで初めたのではなく、「おいしいもの」を追及した結果、有機野菜になったという、メニューのもっとも基本的な「素材のおいしさ」から始まったのが本質だったのである。だから自然に、素朴に売れてきただけ、と言うのが本当のところだろう。

その後スカイラークグループでは、順次有機農産物の扱いを増やしてきている。この動きは、業界全体になってきている。最初は一部の独立レストランが「有機」を、こだわり、売り物として出してきたのだが、今では、業界全体の大きな流れになってきている。

原料調達も、国内の農家と契約したり、有機農産物の新しいルートを開発したりと、新しい流通が活発になってきている。これは、今までの固定化した流通を打ち壊す動きにもなっている。長い不況の中で、低価格の食材を開発してきたことは、新しい時代の食品の流れを作ってきており、いい結果になってきているが、有機農産物もこれに貢献している。

国内の動きばかりではない、海外からの調達も活発になってきている。カナダ、米国、オーストラリア、ニュージーランドなど、クリーンな環境で作られた農産物が海外から直接ユーザーに持っていけるルートが着々と出来つつある。有機生鮮野菜は、航空便で日本に入り、そこからさらに国内航空線で地方都市にも送られていく。

海外から入ってきた生鮮野菜を地方都市まで持っていくには、成田空港では便が非常に限られていたのだが、関西国際空港がオープンしてからは、飛躍的に良くなった。航空時刻表を見てみればわかるが、関西空港からは、全国の地方都市への便が実に充実している。まず関西空港に入れ、そこで通関をしてから、すぐに全国の都市に運ぶのである。中には地方都市に本社があり、そこですべてをコントロールしているところもある。コンピュータの利用がこういったことを可能にしたのである。

もちろん飛行機ではなく、低価格の船でも持ってこれる。冷蔵のコンテナーを使えば、鮮度のいい状態で南半球からでも持ってこれる。冷凍野菜も活発である。ニュージーランドにある冷凍野菜の大手メーカーのワッティでは、2年ほど前にニュージーランドの新聞に記事を出した、「有機野菜求む!!」という内容である。米国、ヨーロッパ、日本などの需要が活発になってきたので、不足してきたのである。

有機野菜を作るには、土地から自然でなければならない。最低5年とか、7年の間、全く化学物質を使っていないことが重要な条件になる。さらに、その土地が、他の土地に汚染されない状況でなければならない。山の中腹にある土地だと、その上の土地で化学物質を使った場合、下に流れてきてしまうので、有機栽培は出来なくなる。有機を行なうには、広大な土地が必要なのである。

生産者の意識ももちろん重要である。この点は、有機栽培を行なっている人は、元々しっかりとした考え方、コンセプトを持っている。有機農業を元に、社会に貢献しているという誇りを持っている人がほとんどである。

有機栽培がきちんと行なわれているかを証明するシステムも出来上がっている。米国でも、オーストラリアでも、有機農業の生産物を証明するための規格が出来ている。全世界的にまとめるところはドイツにある。分析機関もこれをバックアップするようになっている。これは真面目に生産しているものにとって重要である。

有機のニーズが高くなってくると、どこまでが有機栽培だという基準があいまいになっていき、それがさらに悪い方向に進んでしまえば、有機農業その物が信用できなくなってしまう。実際日本でも、ある自然食品の宅配組織が、豚肉で不正なことをしていたことがわかり、新聞記事で取り上げられて問題になったこともある。有機農業は、急速に需要が伸びてきても、それに追い付いていけないことが多い。簡単に増産できないのである。だからチェックシステムが重要なのである。

こういったところから、デリ、そうざいにも、有機の農産物を使える環境が整いつつある。メニューとしては、有機野菜のサラダ、有機野菜を使った煮物、有機野菜を使った野菜カレー、有機野菜を使った中華炒め物メニュー。生鮮材料と冷凍物を組み合わせれば、あらゆるメニューに利用できる。


総合食品「フードライフ」95/11月号より
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