外食、惣菜で、有機に対する動きが急速に活発化

2013/05/25 16:56 に 松本リサ が投稿   [ 2013/05/25 16:56 に更新しました ]

外食、惣菜で、有機に対する動きが急速に活発化している。有機食品に対するニーズは、消費者には
もともとあったものだが、企業側に、一部の食材だけを有機にしたら、他の食材がどうなっているか、かえって不安を与えるのではないか?という不安から、なかなか本格化していなかった。しかし、この2年ぐらいの間に、そのような心配はないことがわかり、さらに、低価格指向の次の競争段階に入って、企業と特徴を強烈に打ち出すものが必要となってきた。その打ち出すものとして、有機食品は実にタイミング良くスタートをしたのである。今では乗り遅れまいと、競って有機食材に開発を各企業が進めている。具体的に各企業がどのような進め方をしているのか見てみる。

外食業界

日本フードサービス協会は昨年、消費者の健康志向の高まりを受けて、すべての食材を有機農産物に転換していく戦略を打ち出した。しかし、加盟各社が向けの大量の有機農産物を確保するためには全国的な産地ネットワークが当然なので、昨年から全国の産地を回っている。今までに北海道、長野、群馬、茨城などは部分的に動き出しており、南九州では鹿児島県経済農協連に有機農産物の供給を正式に要請している。
すかいらーくグループはレストラン「ジョナサン」で最初に有機食材を扱った。93年に全店で、有機栽培のホウレンソウサラダがスタートしたが、冷夏で不作ということで、短期間に中断してしまったことがある。しかしその後有機野菜のサラダはメニューにのり、今では株式会社「いずみ」という合弁会社で、山梨県内の畑と、契約する全国300軒の農家で作る有機栽培・低農薬野菜を仕入れ、すかいらーくグループを中心に販売している。
最も量の多いのは、トマト、レタスなど生野菜の「有機、低農薬」でそろえるレストラン「ジョナサン」である。また、ベイエリアの一流ホテルへの納入も決まった。いろいろなファストフードやレストランチェーンからも、問い合わせが多いという。
ステーキレストランのフォルクスは、首都圏の「フォルクス」68店舗のサラダバーのトマト、レタス、キュウリを有機野菜に切り替え、全店導入する計画。調達のために生産農家との直接取引を拡大していく。キュウリは千葉県、トマトは埼玉県、レタスは茨城県の農家から直接に調達している。さらに関西にも契約農家を広げるという。また、生で食べられるモヤシ、タマネギ、キャベツなども有機野菜に替えていく。キャンペーンとして、店内に生産者の顔写真入りポスターなどを張ってPRしたり、サラダバーにも有機野菜使用を明示する。サラダバーの一店当販売数を、20%程度増やしたい考えだ。
高級中華レストラン、聘珍樓の関連会社、和食「濱町」と居酒屋「北海道」を展開する平成フードサービス(横浜市)は、群馬県の有機野菜の生産農家と契約して、ホウレンソウ、キャベツ、レタス、ダイコンを各店舗に供給する。北海道の農家からはすでにトマトやジャガイモなどを入れていて、群馬県の農家を加えて有機野菜を90%にしたい考え。
居酒屋チェーン「すずめのお宿開発」は、94年から、仕入れ先を有機野菜の産直などを手がける「大地を守る会」に切り替えている。
西洋フードシステムズ藻有機野菜の導入を進めている。トンカツにも有機野菜を使ったソースを使っている。
札幌では、ホテルレストランが安全性や栄養をテーマとしたキャンペーンメニューを競っている。札幌ロイヤルホテルの「ルヴォワール」では鉄分不足になると貧血などになりやすくなるということで、今年始めに鉄分を多く含んだ食品を使ったコースディナーをを行っていた。メニューは豚レバーのテリーヌやアサリとキクラゲを使ったコンソメスープ、カキとイセエビのグラタン、豆の煮物添えの牛ロースステーキなど鉄分たっぷりのメニューで、成人が一日に必要な量を十分に摂取できる。ホテルニューオータニ札幌の「フォーシーズン」では、女性の肌を美しく保つコラーゲンを多く含んだ手羽先ベースのスープや、ビタミンB1が豊富な黒豚肉のソテー、カルシウムやカロチンがふんだんなモロヘイヤを使ったパンなど女性の美容を考えたメニュー。ホテルアルファ・サッポロの「カメリアコーナー」でも今年始め、シチューや日替わりランチに、アメリカ産有機野菜のチコリやホウレンソウなどの新芽野菜を使ったサラダを添えている。

ファーストフード業界

モスフードサービスでは、昨年の11月から、国産の有機栽培したレタス、トマトをテスト的に使いだしている。
日本ケンタッキー・フライド・チキンはエサにハーブを加えた国産の「ハーブ鶏」をオリジナルフライドチキンの材料に使用する。夏から100%国産に切り替える計画。「ハーブ鶏」は、従来からの飼料にオレガノ、シナモンなどのハーブとビタミンEを混ぜた飼料を食べさせたもので、効果としては、脂肪の酸化を防ぎ、臭みが消え、従来よりも鮮度を高く保つことができるということである。また、野菜類も有機にする具体策を検討中だという。
お好み焼きなどファストフード店を展開する友栄商事は大阪市にイタリア料理店「南欧家庭料理・イタリアンキッチン」を開業するが、食材は有機野菜、地鶏など味と安全性を重視して取り入れる。

惣菜

紀文食品が5月に東京・吉祥寺の近鉄百貨店東京店にオーガニック総菜専門店「東京きゃべつ」をオープンした。サラダを中心にコロッケ、ご飯アイテム、国産小麦100%のパンなどを販売。無添加調味料を使っている。使う食材は、千葉県のJA山武郡市と、東京・大田市場から調達している。売れているのは、「れんこん・しそ・糸昆布サラダ」、キャベツのメンチ。日替わり弁当やインドのオーガニック紅茶なども販売している。

メーカー、宅配、卸売り

食品の宅配事業「らでぃっしゅぼーや」を展開する日本リサイクル運動市民の会が、東京、吉祥寺にカフェ「カランドリエ」を開いた。食材は、提携する農家やメーカーから仕入れたものを使用する。メニューはケーキとサンドイッチが主体で、ケーキはモロゾフが特別に生産している。また同会では、低温殺菌のオーガニックジュースを開発し、外食産業、量販店向けに卸売りを始める。このジュースは、62度から72度の低温で3〜30間殺菌する製法で、高温殺菌に比べてビタミンやミネラルが減りにくい。ファミリーレストランやファストフード店向けには業務用の大型容器入りを、スーパーなど量販店向けに小売缶入りを販売する。
ブルドックソースでは、有機栽培の野菜・果実を使用した「ブルドック・有機野菜のソース」を発売する。有機野菜は、素材のメニュー化だけでなく、加工用の原料としての使用も出て来ている。
業務用食材の卸売り、高瀬物産は外食産業向けに、米国で自然食を提唱している久司道夫氏の指導による有機栽培食材「クシヘルスメニュー」の販売を始める。全国の農協から原料を調達、ホテルやレストラン、給食産業などにメニュー開発して供給する。玄米、大豆などの穀類や野菜を中心とするが、スープストック、豆腐などの加工食品も開発する。

小売り

多くのスーパーマーケットが有機農産物を販売しているが、コンビニエンスストアの「ローソン」は、弁当と総菜の主力メニューの野菜を有機農産物にすることを計画している。弁当と総菜部門は店舗総販売額の25%を占める。
がんこフードサービスは手づくり豆腐を関西の百貨店や量販店の一部で販売する。無農薬・有機栽培大豆を使って自社工場で生産する。さらに豆腐専門店も出店する計画。
福岡市の百貨店、岩田屋と契約栽培している有機野菜生産者グループでは、生産者と販売社のコミュニケーションを良くして、業務向上を目指すために、毎月勉強会を開く新しい取り組みを進めている。

このように、各業界とも、有機農産物に対して、色々な形で取り組みを始めており、具体的な利益にすでに結びついているところが多い。ニーズは十分にある、出来るところから始めるべきだろう。この有機の流れは、ナタデココとか、ティラミスといった一過性のものではなく、いい食べ物を食べたいという人間の基本的な要望から来ているので、止まることはない。

総合食品「フードライフ」96/8月号より
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