豚肉の消費者イメージ

2013/05/25 16:29 に 松本リサ が投稿
台湾豚の口蹄疫では、かなりしばらく混乱をしていくことになるだろう。国全体の回復には時間がかかるのと、新たに生産を始められるようになってから、肉になるまでも時間がかかる。生産力が前のように回復するまでに、今すぐに完全にクリーンになったとしても、最低で1年はかかることになるのだから。そして、いつ輸入禁止の終了になるかであるが、これは判断基準によって違ってくるが、最低で1年半、最も長くて5年以上、という見方だ。

この間、米国を始めとする他国からの供給が必要になる。国産ポークは今まで生産力が下がってきてしまっているので、一時的に生産を上げることが出来そうにない、生産者そのものが減ってきているのだから。

輸入豚肉のシェアは、台湾がトップであるが、この事件で米国へ一気にシフトしており、米国から日本への豚肉輸出は2倍になるだろう、というのが業界関係者の予想である。



さて、豚肉のマーチャンダイジングであるが、今市場に出ている豚肉が大きくわけてもいくつかのコンセプトになっていて、それがどうなっているのか、消費者はどのようなイメージを持っているのかを、立体的にまず見ていってみる。


豚肉のコンセプトというのは、大きく分けると2つのものになっている。一つはブランド力、あるいは銘柄性、高級感、といったものである。これは、黒豚に代表されるものである。そしてもう一つは、安全性、ナチュラルせいである。薬を使っていない、ほとんど使っていない、どれだけナチュラルなのかというものである。これの代表はSPFポークになる。


銘柄性と、安全性は、別々のものである。どちらかというと、銘柄性があるものは、飼料を高品質にしたり、ヘルシーにしたりして、美味しさと、健康性を追及している。安全性は、薬品、バクテリアの問題を追及している。美味しさを求める顧客は銘柄豚を購入するし、安全性を求める顧客は、SPFを購入する。


図表の様に、銘柄性と安全性を立体的に表現すると、消費者にとって、安全性も銘柄性もないのは、何の特徴、こだわりも持っていない普通の輸入豚肉である。これはスーパーマーケットなどにとっては特売対応に使っているフローズンのものになる。ヒレ一本いくらで特売をしているものである。そして、このコンセプトの中には、国産のレギュラーポークも入ってくる。しかし、国産は何の特徴もなくても「国産」という、輸入に大きく対抗しているブランド力があるので、輸入ポークよりも消費者イメージは全然いい。


ところが最近は何の特徴もうたっていない国産豚肉はかなり無くなってきている。どこのスーパーに行っても、豚肉にはなんらかの銘柄性を持たせている。銘柄性を持っていない国産豚肉を扱っているところでも、大体は銘柄豚と併売になっていて、高品質豚肉と普通の豚肉を顧客が選べるようになっている。


銘柄を持っている豚肉はここ数年で急速に増えてきており、さらに毎月のように各地から色々な銘柄が新しく発表されている。そして、銘柄豚の最も高級なイメージを持っているのが黒豚である。黒豚を扱っていない生産関係者や、流通関係者は、黒豚の不安定性であるとか、混血の多さなどをあげて異論をいうだろうが、消費者のイメージにおいて、黒豚は非常に高級なものなのである。


そして安全性の方になっていくと、銘柄性はないが、輸入のSPFがまず来る。そのうえに、国産のSPFになる。SPFの国産と輸入の違いは、輸入は単に「安全性」で、国産はそれに「国産」という「安心感」が付く。「安心感」は銘柄性ではないが、消費者が豚肉を選ぶとき、「正体明らか」というキーワードがあり、どこで作ったものなのか、誰が作ったものなのか、ということが購入するときの安心感になる。輸入については信頼性がまだ無く、「正体明らか」にはまだならないのである。国産SPFは高価格でも売れるが、輸入SPFは安くないと売れない、スーパーマーケットにおいてもこのコンセプトで区別をしている。


銘柄性もあり、安全性もあるものは、銘柄豚のSPF、といったものになる。これはまだあまり無く、例えば住商飼料畜産が行っている「SPF地養豚」のようなものである。これはもともと鶏肉の飼料に「地養素」という、木酢や海草など、肉の品質を良くするものを入れて「地養鳥」を作っていたのだが、その地養素を豚肉の飼料にも加えて「地養豚」が開発された。さらに、その地養豚をSPFにしたものである。

この地養豚は生産量はあまり無く、東京の一部の高品質品を販売するスーパーマーケットで販売されている程度であるが、今後こういった「銘柄」と「安全性」の両面を持った豚肉もし代に開発されてくるのではないかと思う。

では、これの最高は何かということになると、黒豚のSPF、と言ったことになるのだろうが、今まで聞いたところではいずれもうまく行っていないようだ。あるところでは四国で開発してきたのだが、やはり歩留まりが悪くて、出来ていないそうである。

鶏卵肉情報センター「養豚情報」97/4月号
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