豚カツ

2013/05/24 1:08 に 松本リサ が投稿
「お肉屋さん」のポピュラーな総菜だが、人気があるだけに、変なものを出すと顧客はすぐわかり、売れなくなってしまう。美味しくて、ボリュームがあり、安い。これが売れるものなのだが、ヘルシーといった要素も必要な時代でもある。

部位、加工、機械

ロースとヒレに人気が集中しているが、高品質の豚肉、ブランドポークを使う場合には、部位のバランスが崩れてしまう。ロースとヒレの豚カツが売れるようになったのは良いが、気がついたら精肉で販売する分が無くなってしまってはど困る。それならばモモを利用したら良い。もも肉は硬いという点は、加工技術でカバーする。もちろんロースを軟らかくするのにも使える。軟らかくする方法は、熟成と機械的な方法がある。熟成はクリーンな肉を、クリーンな冷蔵庫で保管することで行なう。自然な方法なので、味も良くなるが、時間がかかる。機械式では、テンダーマチックとステーキマスターと一般的に呼ばれている2つの方法がある。

テンダーマチックは細いサーベルのような刃を束ねて肉に挿し込み、スジを切る方法である。昔からポピュラーなブランドとして「ジャカード」社製があり、これは品質、強度の点で申し分ない。

小型のテンダーマチックは、切り身にした肉にテーブルの上で挿し込む、小ロットの生産に向く。大量に作るには、大型のテンダーマチックを使ったほうが良い。ブロック肉の状態のまま挿し込んで使う。挿し込むときに、肉のスジに直角又は斜めに挿し込むように、機械にブロック肉を滑り込ませる台に置くときに調整をする。ステーキマスターは、ドライバーの先端のような刃がドラムに数百付いていて、この2本のドラムが回転するところに切り身を落としてスジを切る。ナイフの先でスジを細かく切る作業を機械的に一瞬で行なうことが出来る。

テンダーマチックもステーキマスターも刃をクリーンな状態で使わないと、肉のスジを切るのではなく、「バイキン挿し込み器」になってしまう。使い始めに洗浄してあるのを確認し、アルコール消毒をしてから使うことだ。また、ずっと使っていると次第に汚れていくので、例えば1時間毎に洗浄をする、といったルールを決める必要がある。使い終わった後は必ず分解洗浄をすること。洗浄が終わったら、分解された状態のまま専用のバットにでも入れて冷蔵庫に入れて保管をしておけば、バクテリアは増殖しない。冷蔵庫は原材料とカットした製品を分けて保管する必要があるが、ナイフやチョッパーなどの機械類は原材料庫の方に保管しておけばよい。また、刃は切れる状態でないと、スジを切るのではなく、肉の繊維をつぶしてしまい、食感と味を悪くしてしまう。クリーンに、切れる刃で、メンテナンスを行なうことは、食中毒などの安全性と、美味しさの元になる。

調理加熱は温度が大切

豚カツを揚げるためのコツは、油の品質と、調理後の中心温度である。特に中心温度は、低温だとクレームになるし、下手をすると食中毒の原因になる。高すぎれば、ジューシーでなくなり、硬くなり、肉の味が無くなり、重さまで無くなり、ロクなことはない。適切な温度は食中毒の危険が無くなる温度で、72〜75℃である。72℃になった途端に調理終了になると、安全性は大丈夫なのだが、カットしたときに赤い場合があり、クレームにつながってしまう。72℃になったらすぐにフライヤーから上げ、油を切るためにしばらく置いておくと、高温になっている表面の余熱で調理加熱が残って、72度付近をしばらく保持することになり、これで赤くなったままという問題が無くなる。まあ、72〜75℃の間にすることが出来れば最高の状態のなるのだが、長年の経験が無いと難しいので、一般的には75〜85℃位に揚がるようにすればよい。

温度の確認には中心温度計を使うのだが、1枚1枚確認していては作業効率が悪いから、頻度を決めて確認をする。最初に揚げたのを計り、大丈夫ならそのまま続けながら、例えば30分ごとに一度計る、といったルールにする。

パートアルバイト中心の職場の場合、オートフライヤーを使うと良い。油の温度が規定まで上がったらその温度を保持し、食材を何分間揚げるかをメモリーしておけば、フライ時間を正確にコントロールすることが出来る。入れる食材と、豚カツの切り身の厚ささえ一定であれば、常に安定したフライが出来る。厚さが違う部位、例えば厚切りのヒレに、普通の厚さのロース、それに機械式にスジを切ったもも肉の1口カツといった、フライ時間が違う食材でも、メモリーボタンがいくつも付いている機械を使えば、ボタン1つで使い分けることが出来る。

ローストポークからの方法もある

生肉に衣を付けて揚げる普通の方法ではなく、ブロックのままローストをしてから揚げる方法もある。例えばロース肉のブロックをオーブンでローストポークにする。仕上がりの肉中温度は75℃である。ローストポークだから、このまま食べることも出来るが、これを切り身にして衣を付け、衣だけを高温の油でからっと揚げる方法である。この方法だとどんなに厚切りの豚カツでもすぐに揚げることが出来るし、軟らかくジューシーに仕上がる。チェーン店ではローストポークの切り身を店に配送して、店で衣だけ付けて揚げたり、センターで衣まで付けた状態にしたものを店に運ぶことも出来る。

ローストからの豚カツは、原材料の選択、ローストの方法、ローストした後、温かいまま切り身にしてすぐに揚げるのか、冷却してから処理するのか、店舗で全て行なうのか、配送するのか、衣がはがれないようにするためには、安全性をどう確保するのは、など、商品開発のセンスが必要になるが、革新的な方式にもなる。


ソースについてだが、一般的な豚カツソースも良いが、さっぱり食べるには、高品質の醤油も良い。ヘルシーニーズには大根おろしに醤油という手もある。豚カツに欠かせないのは千切りキャベツだが、家庭でキャベツを買って洗って千切りにするのが面倒だという顧客も増えているので、千切りキャベツパックを別売したり、キャンペーンとしてサービスをする方法もある。顧客を獲得するためにいろいろ工夫したら良い。
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