輸入食材いろいろ

2013/05/25 16:59 に 松本リサ が投稿

デリ、総菜業界だけでなく、あらゆる食品関係の業界に、輸入食材の流れが押し寄せてきている。以前は輸入食材など、大手の食品メーカーや流通業の世界だったのだが、今では、外食業界のもっとも重要な仕入れ戦略になっている。数年前までは、食材の仕入れの中での輸入食材の比率は、大手でも数%以下だったものが、最近では、25%とか、50%を目指している、といった声が聞こえてきている。直輸入でなくて、間接的なものも含めると、ある大手外食企業では「90%」にもなるということである。

この流れは、中小の企業にも出て来ている。たとえば、ある中堅デリ業者では、食材の一つであるアスパラを、以前は業者から買っていた。その後、輸入の方が安いということで、ニュージーランドから直輸入を始めた。これになれてきたころ、輸入アスパラの調査をしていたら、フィリピンのアスパラを見つけたのである。フィリピンのアスパラは、業界では余り目立っていないようだが、低価格で、日本への成長率が最近急速に伸びているのである。もちろんフィリピン産アスパラに切り替えつつある。

アスパラは米国からがトップで、フィリピンは2番目だ、しかし、伸び率を見ると、米国が-18%なのに対してフィリピンは50%と、大幅に伸びている。オーストラリアからも44%もの伸びである。フィリピン産の通関後原価概算は412円で、圧倒的に安い。もちろん品質の点もあるが、これだけ数字的に伸びているのは、それなりの理由がある、有利だという意味にとらえられるだろう。アスパラはニュージーランドのイメージが強いのだが、量的には6番目で、価格も729円と高くなっている。伸び率の面からは中国産が201%で、伸び率のトップだ、95年に586トンと量的にはまだ少ないが、注意しておく必要あるだろう。

豚肉においても、輸入に切り換えるところが増えている。外食のとんかつ和幸では、昨年から米国産のSPFポークの利用をテストしてきたが、結果がいいことから、全面的に切り換えた。輸入食材というのは、顧客にとって、安全性など不安な面があるのだが、SPFポークの場合は、特定病原菌不在豚という安全性を逆にうたえることが出来る。SPFポークは国産と米国産の両方があるが、米国産は低価格で、ヒレ(ヘレ)とロースだけを自由に買うことができ、外食企業に向いている。国産のものは、高級感、安心感で、その反面価格は高い。最近ではスカイラーク系の企業が、SPFポークに移行することを発表している。

豚肉で問題なのは、セーフガードという制度で、国内の生産者保護のために、輸入が急増した場合、関税を上げる、という制度がある。これが発動されると、20数パーセント藻原価が上がってしまうことになるのだが、すでに今年の始めから3カ月間発動され、その後今年の7月からまた発動される見込みである。こうなるとせっかくの低価格で安全を訴えられる豚肉が高くなってしまうので、ユーザーにとっては困ることになる。そこで豚肉調製品の輸入が出てくることになる。

豚肉調製品とは、生の肉ではなく、味を付けたり、調理をしたりしたものである。豚肉調製品の中にも、セーフガードの対象になるものと、そうでないものがある。当然セーフガードの影響を受けないものの輸入が急増しつつある。その一つにソーセージがある。ソーセージの関税は10%と安く、食材としても用途が広いことから、外食ユーザー、メーカーの間でも検討をしているところが多い。

ソーセージの輸入では米国が圧倒的に多く、伸び率も46%と高い。しかし、デンマークやカナダなど、追い上げている国もある。ソーセージは豚肉を多く使うので、豚肉の生産国が有利なのである。カナダの豚肉は、日本にも入っているが、差額関税のために、高額の豚肉が輸入されている状態である。デンマークも同じだ。しかし、低価格の豚肉をソーセージに加工して輸入したら、差額関税も関係ないし、セーフガードも関係ない。カナダの豚肉はニュージーランドなどにもかなり輸出されている。低価格の加工肉原料なのである。それを日本へのソーセージに利用するわけだ。もちろんデンマークも同じである。



デリ、総菜の主力商品のハンバーグは、以前は牛肉と豚肉の合い挽きが主流だった、しかし、高級感からその後牛肉100%の製品が次第に出て来ている。業界では、牛肉だけがいい、あるいはやはり日本人は合い挽きがいい、と、色々と議論がされている。このハンバーグは、牛肉100%のものを低価格で作ろうと思ったら、牛肉のひき肉材料が安い国で作るのがいちばんいい。ハンバーグの国といったら米国、となるかもしれないが、原料は違う。米国でのハンバーグの原料は、オーストラリア、ニュージーランドから輸入している。この輸入減量は、赤身率が90%程度と高いものを輸入して、それに米国内で出た牛肉の脂肪をミックスして作る。ハンバーグの脂肪率、赤身率は、あまり赤身が多いと、パサパサしておいしくない。マグドナルドの赤身率の高い健康志向用ハンバーグも、ついに無くなってしまった。最もおいしいとされるのは、赤身率80%ぐらいのものだとされている。ということで、米国では、低価格で赤身率の高いオセアニア産の牛肉原料を入れ、自国で出た脂肪の端材を入れ、うまく作っているのである。以上のことから、牛肉100%のハンバーグを作るには、オセアニアがいい。しかし、合い挽きについては違ってくる。米国、カナダなど、牛肉と豚肉の両方の原料が豊富にあって安くなければならない。オセアニアでは、牛肉は安いのだが、豚肉は牛肉よりモカなり高い、それでカナダから輸入しているのである。鶏肉はさらに豚肉よりも高い高級品である。また、豚肉だけでハンバーグを作ろうと思ったら、台湾、中国といった国がいいだろう。最も、原料だけで考えるとこうなるが、実際にハンバーグを開発しようとしたら、技術的なものが重要になるので、日本向けの厳しい規格のハンバーグを作れるメーカーがあるかどうかが重要である、その上で、低価格原料肉が必要になる。


総合食品「フードライフ」96/5月号より
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