水と美味しい食べ物 ウィーンより

2013/05/20 1:34 に 松本リサ が投稿
先日ウイーンに滞在していて、その時の水と美味しい食べ物のメモ。

ウイーンの水道はそのままゴクゴク飲める。
どんな味がするかというと、まるでエビアン。
これは、アルプスからの水をそのままだからだそうだ。
ウイーンの野菜はどれを食べてもみずみずしくて美味しい。
大きななキュウリの厚切りをバリッと噛ると、水分が口の中にはじけ飛ぶ。
アルプスの凄烈な水をたっぷり吸い込んだ野菜なんだから、美味しいはずだ。

ナッシュマルクトという市場が市内にある。生鮮食材とファーストフードの半分露店もある通りで、大変なにぎわい。築地とやっちゃ場と肉屋が通りになって何百メートルも連なっているみたいなものだ。
ここを歩いていると、この美味しそうな野菜が軒を連ねて売られている。
車を横付けにして、畑から持ってきた野菜をそのまま並べている店もある。
スパイス専門店も目立つ。
多種多様のスパイスが小袋に入れられて、じゅうたんのように陳列されている。小さなカゴを持って、何袋も買っている人が多い。
ウイーンの人は、多分料理もちゃんとするのだろう。

水が美味しい、野菜が美味しい、そして料理。
レストランやカフェに入っても、どこも美味しい。

ナッシュマルクト市場ではアラブ名物の羊のケバブローストを、大型のピタパンに入れてバーガーにする。
ピタパンとは、ポケットの穴を空けたパンで、この中に具を入れる。
日本で出会うピタパンは小さいが、ここのピタパンは大きい。子供の頭ぐらいある。その中に、厚く削ぎ切ったロースト肉と野菜をどかどかと入れて出来上がり。
ずしんと重いケバブバーガーをガブリと噛ったら、水分たっぷりのまま香ばしく焼けた羊肉と、アルプスの水たっぷり吸い込んだ野菜が、ピタパンの香りと一緒に口の中に広がり、鼻に抜けた。
泊まったホテル「SOFTEL」はヨーロッパに展開しているホテルで、朝食がどこでも美味しいので楽しみだった。
レストランに入ったら、早速見つけた、骨付きハム。小型の骨付きハムで、子豚のだ。
普通のハムは、肉に注射針で塩、香辛料、調味料の液をインジェクションといって、注入して寝かす。この時肉の形が崩れたりして、肉の風味に多少の影響が出て来る。ところが骨付きハムは、モモ1本をそのまま、骨が付いたまま加工するので、骨によって肉の形がそのまま保たれる。いわゆる水膨れも出来ないし、させないで作る。
半分削られ、骨が見え出しているモモから数枚を切り出した。
サラダ野菜のボウルから適当に入れた。
テーブルに持ってきて、1切れ口に入れたら、柔らかく、自然のハムのおいしさが広がった。
なんにも付けないで、そのままがいい。
野菜をちょっと。
大きく太いキュウリが5ミリぐらいの厚さに輪切りになっている。つまんで半分噛ると、爽快、みずみずしい。
ピーマンも肉厚。サラダというよりも、刺し身だ。
カブを口に入れたら、バリッと割れ、口の中に飛び散った。
 
大阪の豆腐工場の社長が、あるきっかけから富士山麓の土地と出会った。その辺りはバナジウムを含んだ水がたっぷり出る。その水で豆腐を作ったらどうかと試してみたら素晴らしかったので、工場ごと引っ越ししようと活動中だ。
同じ富士山麓の反対側辺りにある水源が豊かな土地にも別の豆腐工場がある。ここの豆腐を購入しているある居酒屋チェーンは、豆腐と一緒に、ここから出る水を毎日トラックで引き取りに来る。店で使う水をわざわざ取りに来るのだ。

神奈川県にある、豆腐、麺、惣菜を作っている工場が、車で数分のところに新工場を作った。惣菜の需要拡大に対応する為だ。新工場が稼働をしてしばらくしてから、旧工場の麺の需要も拡大してきたので、余裕のある新工場に麺ラインを移設しようとしたが、地下水の質が悪くて、断念した。そこの水では品質の良い麺が出来ないのだ。すぐそばなのに。

ジャックダニエルというウイスキーがある。私はごくたまにウイスキーを飲む時、これにする。独特の焦げた香りがあっておいしいからだ。このウイスキーは昔たまたま掘った井戸の水が美味しかったので、これでウイスキーを作り始めたのが最初だ。ところがウイスキーが売れてきて、もうひとつ井戸を掘ろうとすぐ近くに掘ったら、全然違う水が出た。色々掘っても結局美味しい水は最初に掘った井戸のものしかなかった、と聞いている。

郡山の市場内に製氷工場を持っている会社が、阿武隈山系の水で氷を作ろうと、新しく山麓に近いところの地下水を原材料とした工場を造った。大変美味しい水だ。しかしわずかに悔しい問題がある。良い水なのに、法律によって塩素殺菌をしなければならないのだ。「せっかく美味しい水なのに」と、残念がっている。この水をそのまま使う為には、ミネラルウオーターの施設にすればいいということなのだが、それにはかなりの費用がかかるので、今のところ断念しているという。

野菜はもちろん良い水の土地の方が良い野菜が出来る。畜産も良い水を家畜に飲ませることが出来ればいいに決まっている。水が悪いから引っ越しというわけには簡単に行かないが、これから、あるいは選定の時には、水についても考慮する必要がある。
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