社員食堂の改革 健康型、トレンド提供型

2013/05/25 16:41 に 松本リサ が投稿

社員食堂のコンセプトとメニューが変わってきている。以前は、低価格であり、ボリュームであったが、今の社員食堂は、低価格でなければならないが、同時に「健康」であることが必要になってきている。
「健康」である店では、いくつかのポイントがあり、一つは「安全」な食材を使ったもの、添加物を使っていないもの、無農薬、有機生産をしたものなど、食材の素材に気を使ったもの。2番目には、社員の健康管理を手助けするものである。

事業所給食大手のニッコクトラストは社員食堂のメニューに有機栽培のコメや野菜を導入する。単に仕入れるのではなく、生産組織を開発する。生産組織は、当初埼玉県の農家と組んで農業法人を設立し、その後全国へ順次展開をする。最終的には全国500程度の農家を組織する計画。有機農産物は、急速に人気が出てきたために、安定的な食材供給が難しくなってきているので、自前で生産を安定化させる方針である。
当初導入するのはコメとホウレンソウで、都内約5カ所の受託社員食堂に入れる。将来は受託の全食堂約950カ所に有機農産物を入れる計画。

グリーンハウスでは西新宿に出来た新しいオフイスビルの東京オペラシティタワーの社員食堂を行っており、ここは40社、6000人の規模である。ここでの取り組みは、社員の健康をランチからという発想で、食材を、天然、無添加という「安全素材」をテーマにしている。ポスターには「自然主義 毎日だから、こだわりたい」とある。メニュー表示にも工夫がしてあり、「食物繊維メニュー」「カルシウムメニュー」などと色別にして表示している。

同じく西新宿の大成建設では、定食。和、洋食のランチのほかに、低脂肪、低塩の「ヘルス食」、各自がごはんの量を変える定食もある。更に、これだけではなく、コンピュータと栄養相談を組み合わせたシステムをつくっている。3500人の社員が社員食堂に行くと、支払いをIDカードを使って済ませるのだが、このカードは栄養相談室にあるコンピュータに直結していて、個人が何を食べたかが自動的に記録されるようになっている。この相談室のアドバイスを希望する社員は、自分の歳、身長、体重など基本的な項目を登録し、ランチに必要な栄養量を算出し、提案メニューを出す。それを参考に社員はメニューを決めるわけである。そして、一月ごとに食べたメニュー、栄養をチェックし、変色の問題や、理想的な運動などのアドバイスまで受けられるようになっている。


こういった健康面に配慮した社員食堂が増えてきていると同時に、楽しめる社員食堂も出てきている。日清食品は、21世紀に向けて世界最大の総合麺工場建設を進めている。静岡工場がそれで、第一期工事が完了した。この中の社員食堂では、カフェテリア方式で食事のメニューを豊富にして自由に選択できるシステムを導入している。
食品・医薬品メーカーの林原では、社員食堂のデザインを大きく変え、楽しくランチのとれるものにした。まず、和洋中華のコース料理を揃えた。また、何種類もの焼き立てパンを揃えた。そのためにパン用のオーブンなどの設備を導入した。デザートも「エクレア」「フルーツゼリーヨーグルト」「葛(くず)まんじゅう」といったいくつものものから選択できるようにしてある。ここまで来ると一流レストランと変わらないので、食堂を運営するスタッフもメニューの設計などやりがいがあるという。メニューの価格は一食412円。

日本マクドナルドは松下通信工業綱島工場の社員食堂初出店した。月曜日から金曜日の午前11時から午後1時半までの営業。品揃えはハンバーガー6種のみで、ドリンクは飲み放題。従来からの社員食堂のメニューにファーストフードが入り、社員の選択の幅が広がり、楽しい社員食堂に変化した。


健康、安全を配慮したり、楽しさを導入したりと、社員食堂は変化をしてきているが、これからの社員食堂を考えるに当たっては、社員食堂というクローズドの世界ではなく、世の中で売れているもの、顧客が喜んでくれるものを積極的に導入する、という発想が必要ではないだろうか。

メニューの群で考えてみると、例えば飲み物をとれば、今人気のあるものとしては、紅茶、日本茶である。従来の社員食堂では、コーヒー、そしてティーバッグでの紅茶、といったところだったが、本格的な紅茶を導入したらどうだろうか。スカイラークガーデンズでは紅茶を前面に打ち出しており、種類も豊富である。あのようなスタイルを社員食堂に導入したらどうか。紅茶は健康志向でもある。聞いた話だが、風邪の予防にうがいをするとき、紅茶でうがいをするのが一番いいそうである。

日本茶は、ガンに効くとかO-157に効果がある、といったことで評判になっているが、日本茶を「食べる」使い方もブームである。アイスクリームで安定的に人気のあるのが「抹茶アイス」である。日本茶ならばどんな社員食堂にもある、というかもしれないが、デカいヤカンに入った色だけ出ているものではなく、ある程度美味しいものを出したらどうだろうか。日本茶は健康にいい、という点ももっと社員にアピールしたらいい。

「お茶」類では、いわゆる「お茶飲料」を置くというのも一つのアイデアである。ちなみに、現在売れている「お茶飲料」を日経POS情報で調べてみると以下のものである。
コカコーラ 茶流彩彩 爽健美茶
アサヒ 十六茶
アサヒ お茶どうぞ 十六茶
武田 ダイエット健康茶
エムイーエス 発酵ウコン茶
カネボウF 減肥茶
サントリー 細咲茶
日立造船 杜仲茶
Kビバレッジ 大黒茶
エルビー 減肥茶
サッポロ 杜仲茶
紀文FC うこん茶
寿健社 ジャスミンティー

メインのメニューでも、一般のレストランで売れているメニューをそのまま導入するだけで、売れる、楽しい社員食堂に出来る。最近売れている外食メニューをランダムにいくつかあげると、
五目焼きそば(カーサ)
若鶏の龍田揚げ(カーサ)
ビーフシチューランチ(あさくま)
ひれかつ御飯(和幸)
なすのひき肉あんかけ(バーミヤン)
あさりの赤だし(アトムボーイ)
ホタテ貝のオムライス(ラケル)
五目お焦げ料理(敦煌)
有機野菜スープ(デニーズ)
荒挽きステーキハンバーグ(トマト&オニオン)
マダイのグリルバルサミコ風味(神戸屋レストラン)
ホットケーキ&プチグラタン(さんれーく)
この中で、社員食堂にすぐにでも導入できそうなものはある。

総合食品「フードライフ」97/1月号より
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