色と売れ行き

2013/05/23 18:36 に 松本リサ が投稿
色は商品力に影響する。

 

だいぶ以前のことだが、ヨーロッパで良く売れている缶詰めを米国で販売を始めたところ、ほとんど売れない。味はテストをして問題無いのに、なぜ売れないのか原因不明だった。売り場を変えるなど、いろいろ試しても売れない。

この話をたまたま聞いたある薬品関係の仕事をしている人がその缶詰めを見て「色が悪いんじゃないか?」と言った。この缶詰めの主なカラーは紫色で出来ている。この薬品関係の人が言うのには、米国で紫色は、毒薬の色である。一般の人は毒薬のイメージ色が紫などというのは知らないはずだが、何かの潜在意識で、これを感じ取って、売れないのかもしれない。

そこで、缶詰めの色を変えたパッケージにしたら、すぐに売れ出した。

 

良く紹介する例なのだが、フライなどにする牡蠣の商品が二つあり、どちらを売るか選ばなければならなくなったスーパーマーケットがあった。同じ価格、同じ量、グレードも同じ程度。どちらでも良いのだが、どちらが売れるか販売テストをしてみた。二つの商品を並べてしばらく販売していたら、片一方の商品の方が圧倒的に売れる。売れる商品には黄色のワンポイントマークがされている。そこでこの商品にしたのだが、なぜ売れるかわからない。

そこでカラーコンサルタントに聞いたら、黄色をワンポイント使うことで、食欲をそそるイメージになる、という。

 

牡蠣の話は中国地方に展開するスーパーマーケットなのだが、今度は中部地方に展開するスーパーのある店の食肉の責任者が、バーベキュー用の串刺しの最先端に黄色の野菜、カボチャ、コーン、イエローピーマンなどを刺すと良く売れる、という。他の店でもためしてみたら、それだけで売れるようになった。これでこの黄色のワンポイント効果がわかった。

 

カナダのケベック州側で捕れるサーモンは、肉厚で、風味豊かで、大変に美味しいのだが、日本ではあまり人気がない。理由は色が浅いからだ。ノルウエーやチリ産のサーモンは色が鮮やかな赤か朱色なのに対して、カナダ産は鶏肉のような色をしている。目隠しテストをしたら、カナダ産に軍配は上がるのだが、販売テストをすると、カナダ産は売れないのだ。

 

食品ではなく、洗剤の話なのだが、米国のある大メーカーで、長い間売れている洗剤が、競争相手などの新しい製品の台頭によって、じりじりと売れなくなってきていた。そこでこの対策を練ることになった。

機能を高める技術開発、マーケティングの見直しなど、いくつも意見が出たが、パッケージを変えてみたら、という方法を試してみようということになった。色も含めた新しいパッケージデザインをすることになった。

新しいパッケージデザインがいくつか上がってきて、最終的に3つに絞られ、どれかに決めることになったのだが、これを決めるのに、モニター調査をすることになった。数百人のモニターに、この三つのパッケージを送り、意見を聞くのである。

質問はたった一つ「どの洗剤が汚れが良く落ちますか?」である。もちろん中身の洗剤は同じだ。それも過去売っていた洗剤なのだ。

結果はすぐに出た、一つのパッケージが圧倒的に「汚れが良く落ちる」と言う集計になった。このパッケージに変えて販売を始めたのはもちろんである。

 

アップルコンピューターが五色のアイマックを発表したとき、販売店の反応は「そんなに色を作って、何考えてんだ?」「そんなに色があったら、売り場所をとってしまうじゃないか、ただでさえ売り場が狭いんだから」といったものがあった。

結果的に大ヒットになったわけなのだが、これはアイマックが売れただけではなく、関連商品の売り上げにも多いに影響した。計算機、ケーブル、スピーカー、マウス、フロッピーディスク、ディスクケースなど、多くの周辺機器が出て来ただけでなく、これらの機器も五色が必要で、その分売り場面積をとったわけである。食品で言えば、陳列ケースが一フェースだけですまなくて、全て五フェースが必要になり、その結果露出面積が五倍になった。本体アイマックの人気と合わせて、巨大なマーケットの拡大につながったわけである。五色がマーケットを五倍にした、などと表現できようか。

 

日本のある中堅乳業メーカーでは昔から良い製品を製造していたのだが、あるきっかけを境に急成長した。パッケージデザイン、もちろん色も含めて変えたのだ。これにはデザイン料がかなりかかる大冒険だった。

新しいパッケージデザインの製品が出てから、最も売り上げが伸びたデパート店舗では、なんと二百七十倍になった。

なぜ一気にこれほど伸びたのかだが、この店舗の例では、良いデザインのパッケージになって、これは売れると判断した売り場担当者が、それまではたった一アイテムを一フェースだけで売っていたところを、大規模な販売アイテムと売り場面積にしたのである。味が良いことが顧客にこれで知れ、一気に売り上げが伸びたというわけである。もちろん製品の品質と味はそれまでと同じである。

 

既存の商品を考え直すとき、味や技術がその一つだが、パッケージや色の変更も考えるべきではないだろうか。

既存の商品を再マーケティングする時には、パッケージ、色を新しくする方法はどうだろうか。

パッケージ、色を新しくすると、全く新しい商品に生まれ変わってしまう。以前の商品を全て買えることは、かなり危険をともなうこともある。そこで、新製品として出し、既存の商品と併売する方法もある。しかし全てを変える方法もある。

試験販売をすべきではないだろうか。既存の商品との併売、いくつかのパッケージを作ってのモニター調査または販売テスト、など。
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