ローストビーフのメニューと作り方

2013/05/25 6:22 に 松本リサ が投稿
低価格の牛肉がいくらでもある昨今、ローストビーフのメニューは、高級感と、低価格メニューに、これから大いに使える。サラダ、サンドイッチ、どんぶり物、すき焼き弁当、オードブルと、広範囲に応用できる。一つの食材を広く活用できるということは、コスト的にも、回転率からも有利だ。そのために重要なことは、低価格で、おいしく、柔らかいローストビーフ原料をつくることである。そのためには、どうしたらいいか。


1.ローストの方法と機器
1)良いローストビーフを焼くためのポイントは温度である。
ローストビーフの焼き上がり状態を知るのに、以前は竹串を刺してから抜き、串の先端を唇にあてて中の状態を見ていた。これは何年も経験を積んだ調理師でしかわからなかった。
大体ローストビーフなどという大変な料理を、若いなりたてのコックがさせてもらえるわけはないので、そこまで行くのに何年もかかったのである。
しかし、今の時代、これだけローストビーフが売れているのだから、安いコストで作るために、誰でもすぐに、安定して焼ける状況にしておかなければならない。それが温度計で簡単に解決するのである。
日本のマーケットで売れやすいローストビーフの焼き上がり肉中温度は50〜55℃程度である。
食肉の加工から言うと、ハム、ソーセージの加熱加工の時、「63度30分」という規定がある。ハムでもソーセージでも、肉の中心の温度を殺菌加熱のために63℃まであげ、その状態を30分維持しなければならない、という規定である。
ところが我が国では、「牛肉のタタキ」のように、生に近い状態で牛肉を食べる、そのためにローストビーフの場合、「鮮赤色」の色でないとおいしそうでないし、また食べてもジューシーさに欠ける。O-157の問題だが、ブロック肉の中にはバクテリアは入り込まない。表面についている可能性はあるが、表面を焼けば問題はない。表面に焦げ目をつけたら、あとはゆっくりと目的の肉中温度まで焼いていけばいい。
肉中温度計は、肉をオーブンの中で焼き、適当な時間になったら、肉の中心に温度計のセンサーが入るように刺し込み、肉の最も焼けていない中心の温度を計る。このとき、少しでも焼き過ぎると、焼き過ぎた肉はもう元には戻らない、しかし、低めの温度だったら、もう少し焼けばいいのであるから、少し早い状態で調べれば失敗はない。

2)アルバイト、パートにも正確に作れるように
人手不足の時代、機械化と、アルバイト、パートにレベルの高い仕事が出来るシステムにしなければならない。高い給料を取っている人が付きっ切りでオーブンの前にいてはムダである。
ローストの場合には肉中温度がそのポイントになるが、正確に焼くためには、ある程度の目安が出来てなければならない。
ローストを焼くためには、
・ローストにする肉のブロックの大きさと形と初期温度。
・オーブンの加熱方法。
という条件がある。
ローストにする肉の大きさというのは、大きいのと小さいのでは焼き上がり時間が違ってくる。内モモの丸と1/2とでは同じオーブンにいれても、同じ時間では出来ない。丸がうまく焼けたら、1/2の方は焼き過ぎてしまっている。1/2がうまく焼けたときには、丸の方はまだ生焼けである。もちろん1個の場合と2個の場合にも違ってくる。
肉の形によっても違ってくる。丸いもの、例えばリブ1/2のような形ものとテンダーロイン1本では、もし同じような重量であっても、焼ける時間は全く違ってくる。細いテンダーロインの方が肉の中心までが短いから早く焼ける。
初期温度というのは、オーブンにいれる前の温度である。-25℃の冷凍庫から出した状態と、0℃のチルドの肉とは、焼ける時間は全く違ってくる。
オーブンの加熱方法だが、高温で短時間焼く方法と、低温で長時間焼く方法、及び、最初高温にし、後から低温にするという方法がある。
チルドのテンダーロインを焼くのならば、のんびり焼いていたら中まで焼けてしまって、いい色も出なくなるから、高温で短時間やいたほうがいい。しかし、フローズンのトップサイドを焼くならば、低温で長時間かけて焼かなければならない。
このような焼き方の違いがあるが、数種類のローストビーフを毎日作るということはまずないだろう。精々1種類の原料からスタートするといったところだろう。そうなると、原料、焼き方が、何回ものテストの後に決まってくるので、そこで焼く機器、温度、そして時間が決まってくる。これによって目安が出てくるので、焼き上がり時間の少し前に肉中温度を計り、目的とする温度までの差によって、「後何分加熱する」という仕上作業を決めておけばいい。
例えば「180℃のオーブンで2時間半焼けば出来る、したがって2時間15分後に肉中温度を計り、その後微調整をする」あるいは「夕方6時に120℃の低温調理オーブンにいれ、4時間後に58℃の保温を始め、翌朝温度をチェックして微調整をする」といった具合である。
このようにしておけば、アルバイト、パートでも、いつも決まった規定に焼きあげた、安定した品質のローストビーフが出来る。数千円の温度計1本で、プロと同じように均質の製品が出来るのである。

2.ローストビーフを焼く機器
1)コンベクションオーブン
最も一般的に使われるオーブンで、価格も安い。手頃に使える欠点としては、性能の悪い機器では焼け具合にムラがある。歩留りも悪い。良いオーブンを使えば、歩留りは80%〜90%以上は行くが、性能の悪いオーブンだと70%以下になってしまうこともある。
90%と70%を比べたら20%もの違いになってしまう。この20%は一体何かと言うと、利益そのものになってしまうのである。おまけに、歩留りが悪いということは、ジューシーではなくなるし、堅い、味も抜けているのでおいしくない、と、欠点だらけになる。
チキンのモモを焼いて、1本いくらで販売するのならいいが、価格の高い牛肉で10も20%も、しかも大きな重量が違ってきてしまうのは、大変なことなので、テストをするにもぜひいいオーブンをつかったほうがいい。

2)スチームコンベクション・オーブン
最近外食産業で急速に使われ出しているオーブンである。コンベクションオーブンというのは熱風をオーブン内で回して焼くのだが、これはそれにスチーム、蒸気を加えたものである。
歩留りが悪いというのは肉の水分が無くなってしまうからなので、スチームしながら焼けば、歩留りもいいし、ジューシーに焼き上がる。おまけにこのオーブンは、コンベクション機能だけでも、スチーム機能だけでも使うことが出来る。
コンベクション機能だけを利用すればヤキトリのコゲ目を簡単に付けることも出来るし、ジューシーにゆっくり焼いたものに、表面だけコゲ目を付けることもできる。スチーム機能だけを使えば、シューマイを蒸す、といったことことができる。これでローストビーフを焼くには、スチーム機能とコンベクション機能を並行して使う。

3)低温調理オーブン
120℃程度の低温でローストをする。しっかりと密閉された庫内で、輻射熱をつかって焼くタイプが主流で、米国のスーパーマーケットやデリカテッセンストアの多くがこのオーブンをうまく使っている。
このオーブンの良い点に、無人でタイマーをつかって夜中も調理出来ることがある。例えば夕方作業が終わるときに、冷凍庫から出した輸入牛肉のブロックを入れ、3〜5時間程度120℃で焼き、その後に自動的に60℃程度の保温温度にセットしておく。そうすると翌朝出てきたときにはうまく焼けている、といったことが出来る。
低温だと調理に時間がかかるが、この点をうまく利用すると、無人で調理をすることが出来るようになる。そして、焼き過ぎなどの失敗は少ない。これこそアルバイト、パートでも使いこなせる。そのうえにシチュー、カレー、スープなどの煮込みも鍋ごと入れておけば同じように無人で出来る。残り物の肉で煮込みアイテムを作れば、ロスが利益になってしまう。
24時間のうち、半分はロースト、半分は煮込みというように使い分けることできる。低温のためにコゲ目はつかない、歩留りは最高にいい、90%以上にローストを仕上げることも出来る。ブリスケットなどの低価格の部位も、このオーブンを使って長時間の調理をすると、柔らかくなり、歩留まりもよく出来る。

4)パウチクッキング、ウオータークッキング
真空パックしてからスチームで加熱したり、ボイルする方法があり、センター、メーカーで行なうことが出来る。
総合食品「フードライフ」98/8月号より
Comments