ローストビーフ-1

2013/05/24 2:08 に 松本リサ が投稿
低価格の牛肉がいくらでもある昨今、ローストビーフのメニューは、高級感と、低価格メニューに、これから大いに使える。サラダ、サンドイッチ、どんぶり物、すき焼き弁当、オードブルと、広範囲に応用できる。一つの食材を広く活用できるということは、コスト的にも、回転率からも有利だ。そのために重要なことは、低価格で、おいしく、柔らかいローストビーフ原料をつくることである。そのためには、どうしたらいいか。


良いローストビーフを焼くためのポイントは温度である。


スライスしたときに美味しそうな色になるローストビーフの焼き上がり肉中温度は50〜55℃程度である。O-157の問題だが、ブロック肉の中にはバクテリアは入り込まない。表面についている可能性はあるが、表面を焼けば問題はない。表面に焦げ目をつけたら、あとはゆっくりと目的の肉中温度まで焼いていけばいい。

原材料肉にテンダーライザーを刺し込むと内部に食中毒菌が入る可能性が出てくるのでやらないほうが良い。また、マリネした場合にも、マリネ液がある程度内部にしみ込んでいくので、これも気をつけたほうが良い。マリネしてからあまり加熱しない牛肉タタキにして大問題が出たのは記憶に新しいところである。

肉中温度計は、肉をオーブンの中で焼き、適当な時間になったら、肉の中心に温度計の先端のセンサーが入るように刺し込み、測定する。このとき、少しでも焼き過ぎると、焼き過ぎた肉はもう元には戻らない、しかし、低めの温度だったら、もう少し焼けばいいのであるから、少し早い状態で調べれば失敗はない。

正確な温度に焼くためには、ある程度の目安を作っておくと良い。

ローストを焼くためには、

・ローストにする肉のブロックの大きさと形と初期温度。

・オーブンの加熱方法。

という条件がある。

ローストにする肉の大きさというのは、大きいのと小さいのでは焼き上がり時間が違ってくる。内モモの丸と1/2とでは同じオーブンにいれても、同じ時間では出来ない。1個の場合と2個の場合にも違ってくる。肉の形によっても違ってくる。丸いもの、例えばリブ1/2のような形ものとテンダーロイン1本では、同じ重量であっても、焼ける時間は全く違ってくる。細いテンダーロインの方が肉の中心までが短いから早く焼ける。

初期温度というのは、オーブンにいれる前の肉の温度である。-25℃の冷凍庫から出した状態と、0℃のチルドの肉とは、焼ける時間は全く違ってくる。加熱方法は、高温で短時間焼く方法と、低温で長時間焼く方法、及び、最初高温にし、後から低温にするという方法がある。

チルドのテンダーロインを焼くのならば、のんびり焼いていたら中まで焼けてしまって、いい色も出なくなるから、高温で短時間焼いたほうがいい。しかし、フローズンのトップサイドを焼くならば、低温で長時間かけて焼かなければならない。何回ものテストの後に焼き方が大体決まっていくから、焼き上がり時間の少し前に肉中温度を計り、目的とする温度までの差によって、「後何分加熱する」という仕上作業を決めておけばいい。

例えば「180℃のオーブンで2時間半焼けば出来る、したがって2時間15分後に肉中温度を計り、その後微調整をする」というようになり、いつも安定した品質のローストビーフが出来る。数千円の温度計1本で、プロと同じように均質の製品が出来るのである。


ローストビーフを焼く機器


1)コンベクションオーブン

最も一般的に使われるオーブンで、価格も安い。手頃に使える欠点としては、性能の悪い機器では焼け具合にムラがある。歩留りも悪い。良いオーブンを使えば、歩留りは80%〜90%以上は行くが、性能の悪いオーブンだと70%以下になってしまうこともある。

90%と70%を比べたら20%もの違いになってしまう。この20%は一体何かと言うと、利益そのものになってしまうのである。おまけに、歩留りが悪いということは、ジューシーではなくなるし、堅い、味も抜けているのでおいしくない、と、欠点だらけになる、良いオーブンをつかったほうがいい。

2)スチームコンベクション・オーブン

最近外食産業で急速に使われ出しているオーブンである。コンベクションオーブンというのは熱風をオーブン内で回して焼くのだが、これはそれにスチーム、蒸気を加えたものである。

歩留りが悪いというのは肉の水分が無くなってしまうからなので、スチームしながら焼けば、歩留りもいいし、ジューシーに焼き上がる。おまけにこのオーブンは、コンベクション機能だけでも、スチーム機能だけでも使うことが出来る。

コンベクション機能だけを利用すればヤキトリのコゲ目を簡単に付けることも出来るし、ジューシーにゆっくり焼いたものに、表面だけコゲ目を付けることもできる。スチーム機能だけを使えば、シューマイを蒸す、といったことことができる。これでローストビーフを焼くには、スチーム機能とコンベクション機能を並行して使う。

3)低温調理オーブン

120℃程度の低温でローストをする。しっかりと密閉された庫内で、輻射熱をつかって焼くタイプが主流で、米国のスーパーマーケットやデリカテッセンストアの多くがこのオーブンをうまく使っている。

このオーブンの良い点に、無人でタイマーをつかって夜中も調理出来ることがある。例えば夕方作業が終わるときに、冷凍庫から出した輸入牛肉のブロックを入れ、3〜5時間程度120℃で焼き、その後に自動的に60℃程度の保温温度にセットしておく。そうすると翌朝出てきたときにはうまく焼けている、といったことが出来る。

低温だと調理に時間がかかるが、この点をうまく利用すると、無人で調理をすることが出来るようになる。そして、焼き過ぎなどの失敗は少ない。そのうえにシチュー、カレー、スープなどの煮込みも鍋ごと入れておけば同じように無人で出来る。残り物の肉で煮込みアイテムを作れば、ロスが利益になってしまう。低温のためにコゲ目はつかないが、歩留りは最高にいい、90%以上にローストを仕上げることも出来る。ブリスケットなどの低価格の部位も、このオーブンを使って長時間の調理をすると、柔らかくなり、歩留まりもよく出来る。

ミートジャーナル 2001年10月号より
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