ロースト

2013/05/24 0:58 に 松本リサ が投稿
肉をブロックのままゆっくり焼くローストは、単にローストビーフ、ローストチキンといったメニュー、アイテムだけでなく、多くの商品に活用転用することが出来る。ローストビーフは高級アイテムになるが、ブリスケット等の低価格の部位を使うことで、総菜、弁当などに使うことも出来るようになる。

ブリスケットは硬い部位なのだが、ゆっくりとローストすることによって、軟らかくすることが出来る。長時間低温でローストすることは、熟成をすると同じ効果があるからである。普通、コンベクションオーブンでローストする場合、180℃程度の温度で焼くが、低温調理オーブンや、スチームコンベクションオーブンを使う場合、120℃ぐらいだ。歩留まりも良い。

長時間焼くということは、人手がかかると思うかもしれないが、タイマーと温度管理をコンピュータ管理できるオーブンを使えば問題無い。牛のもも肉一本丸ごとを低温ローストする場合、調理時間は一晩必要になることがあるが、これなどは夜オーブンと肉をセットして帰ってしまえば、翌朝には出来ていることになるので、人的コストはなくなってしまうというメリットもある。

低価格の部位を軟らかく焼いたら、冷蔵し、薄くスライスすればサンドイッチやサラダに利用できる。丼ご飯の上に再加熱したスライスを乗せてタレをかければローストビーフ丼が出来る。弁当に使うことも出来る。スライスしたものをガスパックすれば総菜ショップ向けの業務用パックになる。総菜ショップではスライスしたものをいろいろなメニューに簡単に使えることになる。

 

ローストポークも同じように使えるが、豚カツが面白い。老舗豚カツ店は厚切りの豚カツが自慢のところが多い。厚切りの切り身を軟らかく揚げるには、油の温度と時間が難しいので、素人には出来ないからだ。軟らかく揚げた豚カツは実においしいので、老舗でなくては食べられない。ところがローストポークを使うとこれが誰にでも出来てしまう。

まず、ローストポークを焼く、例えばロースを一本のままローストする。ローストされたのはもちろんそのまま食べることが出来るわけだが、このブロックを切り身にして、衣を付け、高温の油で表面、つまり衣の部分を揚げればよい。表面はカリッと揚がっていて、中の肉は軟らかくローストされている。この切り身の厚さは、いくらでも厚く出来る、何しろローストされているのだから、5センチだろうが10センチだろうが、いくらでも出来る。

 

鶏肉だとどういうことになるか。ローストチキンを焼き、冷却をすると、スライスすればサラダ、サンドイッチ、総菜メニューに利用できる。使用する部位は、胸肉を使えばヘルシーなメニュー向けになる。低温で焼く場合、オーブンに胸肉を並べておいてローストする方法だけでなく、パウチクッキングという方法もある。

パウチは「袋」で、真空パックした状態のまま、低温調理オーブンに入れたり、スチーマーに入れたりして調理する方法である。昔は真空パック機が高価で使えなかったが、フィルムで食材を何重かに巻いてから、ボイルしたりスチームしたりして調理したこともある。ボイル調理のことを「ウオータークッキング」という、水(湯)で調理するからである。

総菜ショップや弁当製造業では、2キログラム入りの真空パックになっている状態のままロースト調理し、冷却をすれば、歩留まり良くできる。ならば、ブロイラーサプライヤーが、例えば胸肉の2キロパックのローストを製造し、そのまま製品として出荷することも出来るわけである。このパックを総菜や弁当業者が購入して、パックを破いてすぐにスライスすれば、作業効率が良い。

真空パックにしろフィルムで巻くにしろ、大切なことは環境ホルモンが溶け出さない材質のものを使わなければならないことだ。そのフィルムなり袋の説明を読み、わからなければメーカーに問いあわせるなりして、確認してから使うことである。

鶏肉を串に刺した製品があり、スーパーや総菜ショップで焼くだけで出来るところが受けているが、イベントなどでは焼くのが間に合わない状況もよく目にする。そこで、串刺しにしたあと、例えば10本なりを並べて真空パックしてから、低温ローストをするとどうなるか。中心温度を75℃に上げておけばそのまま食べられる。

このパックを冷蔵すると、調理済みの焼き鳥が出来る。こういった調理のことをクックチルと言っている。クック(調理)したあと、チル(冷蔵)するからである。クックチルにした焼き鳥パックを、店舗に持っていき、表面だけ焼けばよい。

とはいっても、冷蔵してあるものを表面だけ焼いても中はまだ冷たいままである。これでも食べられるが、クレームが来てしまう。方法は、冷蔵庫から出したら、温度を65℃以上まで上げてから、保温しておくのだ。ドロアーというパンなどを保温しておく引き出し式の保温器などもある。そしてあとは炭火でもガス火でもよいから、表面にぱりっと焦げ目をつけて提供すればよい。炭火なら香りがついて本格的な味になる。下手くそが焼くと焼き縮みしてしまうが、この方法なら失敗無く、しかも早くできる。

ローストはいろいろな商品開発につなげることが出来る。


Comments