パウチクッキング、ウオータークッキング

2013/05/20 2:13 に 松本リサ が投稿
パウチは「袋」。袋で調理をする。一般的に「真空調理」と言われている。

稲荷寿司用の味付け薄揚げを作るには、薄い豆腐を作り、フライヤーに通して揚げたあと、真空パックの袋に入れ、タレを入れてから真空パックにする。それをレトルト加工すると、味が均一にしみ、加熱調理殺菌も一緒にできた真空パック製品が出来る。これがパウチクッキング。

ローストビーフを造るのに、牛肉をブロック又はサクにしてから真空パックにし、タンクに入れたお湯に入れて加熱をする。中心温度が目的に達したら、今度は急速冷却をする。
ローストビーフのおいしい仕上がり中心温度は、50℃前後が一般的だが、調理するお湯の温度は90℃程度を設定するので、牛肉ブロックの表面に付着しているバクテリアは死滅する。
急速冷却は、ブラストフリーザー、真空冷却機、氷を入れた水槽などで行なう。
これで真空パックされたローストビーフがそのままでき上がるが、メーカーによっては調理中にフィルムが濁るので、真空パックをし直すところもある。このリパックのところは最も衛生管理を厳しくしなければならないところだ。
これがウオータークッキング。

どちらも似たような方法だが、調理方法によって多くの食品製造に使うことが出来る。

加熱調理を湯に入れればウオータークッキングだが、これは、大量に同じ密度、大きさの加工に向いている。ローストビーフのブロックの形をある程度そろえることで、大量のパックの加工が同時にできる。大量になればなるほど湯槽が巨大になるが、投入量、湯の温度、肉の形、時間を安定させられれば、製造コストは安い。

焼き鳥の加工も可能だ。串に刺した焼き鳥を、何本かまとめて真空パックをする。このパックを数十パック、数百パックでも、湯槽に入れて一気に加熱調理をすることが出来る。

仕上がった焼き鳥は、当然焼け焦げ、焼き色は付いていない。もし、焼き色が付いた状態で仕上げたいなら、串刺しをしたあと、コンベアオーブンやコンベアバーナーなどを素早く(中が生状態で)通して、焼き色を付け、それをいったん冷やしてから真空パックにしてウオータークッキングをすればよい。こうすると、歩留まりが良く仕上がるので、ジューシーで軟らかく食べられる。重量の点でも有利だ。

中心まで完全に焼いてから、冷やして、真空パックしてももちろん製品になるが、歩留まりは悪くなる。
焼き色など付けないで、生のままウオータークッキングをした場合、総菜店舗などで、この真空パックを破いてから、サラマンダーや、オーブンなどで、サッと表面に焦げ目をつけて出せば良い。
中心まで既にウオータークッキングで加熱してあるので、焼き作業を、販売する場所でやることになる。普通の調理と逆になる。焼いたばかりの焦げ風味がたっぷりある。

居酒屋で、直ぐに提供して食べるところだと、表面はパリッと焼けているのに、中は、加熱やされていても冷たい状態になってしまうので、こういう業態では別の方法がある。
一つの方法は、真空パックのまま湯煎などの保温をしたり、ドロアーという保温庫に入れて、肉の中心をあたためた状態にしておき、オーダーが来たら表面を焼く。
表面を焼くのに、炭火でやれば、視覚効果も抜群のうえ、調理時間を短く出来るので、回転の早い店では効果的だろう。
もう一つの方法は、80%調理にする。仕上げを提供場所でやることになる。調理が早く、焦げ目も効果的につけられる。この場合、提供する店舗で間違えないように徹底することである。百%加熱と間違えてやると、半生の焼き鳥が出て来てしまうことになるから。

加熱調理は、湯を使うだけでなく、スチームコンベクションオーブンを使うことも出来る。スチームコンベクションオーブンは、蒸気で蒸す(スチーム)と、熱風加熱(コンベクション)を一緒にしたもので、どちらか一方、例えばスチームだけとか、コンベクションだけで調理することも出来るし、両方一緒に使うことも出来る。
焼き鳥のパウチクッキングなら、真空パックにしたあと、スチーム機能だけで加熱をすればよい。少ロットが出来る。
スチームコンベクション以外では、低温調理オーブンといって、輻射熱を使ったオーブンもある。これは時間がかかるが、単純な箱の中に食品を入れて加熱するため、安定して出来ることと、ダクトが要らないというメリットがある。日本では「ハローヒートオーブン」という製品がある。

肉料理だけではなく、あらゆる加熱調理ができる。和風総菜でも、煮物でも、多くの食品加工に使うことが出来る。カットした野菜とソースを真空パックにすれば、野菜の煮物が出来る。鶏肉と野菜の煮物も出来る。加熱温度と時間の調整によって、シャキッと仕上げることも出来るし、スジや軟骨をトロトロに煮込むことも出来る。歩留り百%、味のしみ込み、均質化も良い。

パウチクッキング後、チルド流通だと、一般的には1週間程度の期限になっているところが多いようだが、これは、その製品の調理具合や食材、塩分濃度などの特性によって違ってくるので、製品ごとに検証する必要がある。安全性だけでなく、おいしさがいつまで保てるかは重要だ。最終的に使用提供する側での安全管理が重要だ。

もちろん凍結製品も出来る。
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