O=オーガニック

2013/05/24 1:58 に 松本リサ が投稿
写真無しの本文のみです
オーガニック食品が伸びている。食品全体のマーケットとしてはごくわずかなのだが、化学物質や狂牛病などの問題によって、自然の状態での食品を求める声が高まってきており、ヨーロッパではもともと有機食品が好まれていたうえに更にオーガニック食品を求める傾向が強くなってきている。著者は2001年5月にドイツ、デンマーク、ノルウエーを視察し、自然の食品は求めるものというよりも当たり前のものとして認識しているヨーロッパの感覚を感じた。


写真1:ドイツのアッシャフェンブルグという田舎町の朝市。こういった市場で販売している食材はオーガニックかそれに準じるのが普通。
写真2:デンマークの西にあるエスピアで出会ったオーガニックチキンのグリル。小型の鶏で、肉は少し硬いが、ウズラのような旨味がある。
写真3:口蹄疫ストップのポスター

オーガニックを分かりやすくまとめると

伝統的な農法にそって栽培された作物
環境を大きく破壊することなく永続的に可能な農業
伝統的な製造方法で作られた食品

消費者の側から見ると

消費者の潜在的欲望
安全性
自分の食べている食品が、どんな生産者によって作られたものか(正体明らか)
ということになり、これを認証団体がどのような基準で認めるのかを一言で言えば、


「3年間無農薬・無化学肥料で栽培された圃場から収穫された農産物」

「その農産物を原料に、食品添加物など一切使わずに作られた加工食品」


そして、基準の統一が国際的に必要になってきたために、コーデックス委員会(国連食糧農業機関(FAO)と世界保健機関(WHO)の合同機関)が活動をしているわけである。

畜産におけるオーガニックとはどういった事なのかなのだが、コーデックス委の食品表示部会は、2000年04月に有機畜産物原案を出した、この原案要旨は次のようになっている、


《一般原則》

有機生産用の畜産物は本指針に沿って飼育されなければならない。

《畜産物の源・由来・転換》

有機農場と非有機農場の間の畜産物の移動は原則禁止する。

《栄 養》

※ 本指針で定めた有機飼料100%で飼育しなければならないが、2005年まで(未定)は遺伝子組み換え体を含まないことを条件に他の飼料も使用できる。

※ 反すう畜産物は最低85%、非反すうは最低80%が有機飼料であれば有機の資格がある。

※ 補助飼料として、遺伝子組み換え添加物や人工合成された成長促進剤、安定剤、着色料などは認められない。

《衛生管理》

2005年以降、抗生物質の使用は有機表示を認めない(未定)。

《家畜飼養、輸送等》

※ 繁殖方法は受精卵移植技術、ホルモン、遺伝子工学を用いてはならない。人工授精は使用可能。

※ 輸送は電気むちやトランキライザーの使用は認められない。

※ ほ乳類は草地や野外に出られるようにしなければならない。家畜のつなぎ飼いは所管当局の許可なしには認められない。

※ 鶏は野外の運動場に出られなければ、おりで飼ってはならない。採卵鶏は一日連続8時間以上、人工照明を消して、夜間休息を与えなければならない。

※ ふん尿処理は焼却してはならず、水質汚染をもたらさないこと。

《記録・個体識別》

※ ほ場区画、群などの内訳と作物の生産計画を、公的に認可された認証団体か当局に通知し、繁殖方法、飼料の入手先など最新の記録を保持しなければならない。


という事で、鶏については「鶏は野外の運動場に出られなければ、おりで飼ってはならない。採卵鶏は一日連続8時間以上、人工照明を消して、夜間休息を与えなければならない。」となっている。


また、<コーデックス有機畜産ガイドラインの動物福祉>の大まかな内容としては、

※ 家畜の飼料は生き物への配慮と責任、尊厳のある姿勢でなされるべきである

※ 繁殖法については、人工授精は認められるが、受精卵移植およびホルモン処置、遺伝子工学を用いた技術は認められない

※ 有機畜産では除角、断尾、抜歯などを行ってはならない

※ 家畜の特殊な行動要求を考慮し、自由な日常活動ができる環境

※ 同じ種の動物仲間と一緒にいることができる環境

※ 異常な行動やけが、病気の予防

※ 家畜にとって必要充分な新鮮な空気と自然光

※ 家畜の健康と活気を維持できる飼料と新鮮な水

※ 畜舎は、床は滑りやすくてはならず、全面をすの子または格子構造としてはならない

※ 心地よく清潔で乾いた充分な広さの休息場所を有し、充分な乾いた敷きわらが敷かれていなければならない

※ 子牛は単房に入れてはならない

※ 家畜のつなぎ飼いは所管当局の許可がない限り認めない

(日本獣医畜産大学 松木洋一教授ら作製)


要するにテーマの通り「動物福祉」なのである。


さて、日本のオーガニックをマーケットとしてとらえると、「ブーム」という流れと「自然」という流れの二つがあるのではないだろうか。ブームでは、例えばレストランに入ってオーガニックの表示がしてあるメニューを見ると、健康そうだから、ブームだから、美味しそうだから、頼みたくなるのだが、ちょっとオーガニックを食べても直ぐに影響がでるわけはなく、「薬」と間違えているのではないかというところもある。都会のストレスが多い環境の中でいくらオーガニックを食べても健康を良くするわけはなく、むしろ満員電車だの人間関係だのを何とかしたほうが早い。

もう一方のキーワードは、エコロジー、自然回帰、というもので、地球環境を壊すな、化学物質で土を傷めるな、自然の循環機能をいじくるな、といったことである。

これからの自然科学の流れは「生命」で、宇宙開発は何を目的に行っているのか、そんな金を使うのならもっと地球の中で使ったらどうか、という議論があるが、宇宙開発のひとつである火星がブームになっているのは「生命」があるのかである。遺伝子工学が盛んなのも「生命」が基本的なものだ。DNAにしろ、遺伝子組み換えにしろ、細菌学にしろ、すべてのテーマは「生命」である。オーガニックはその流れのひとつで、生命と食を結びつけるひとつのキーワードである。オーガニックというと何となく良いような気持ちになり、それを作ったり利用したり摂ったりすることは、潜在的な意志の中で心地よいことなので、この方向に人々の意識が向っていることになるのだろう。こういった意味で、オーガニックは、生産者にとっては、これからゆっくりと時間をかけて取り組んでいく大きなテーマということになる。このような視点から、現在のあなたのビジネスを考えて行く必要がある。
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