ノスタルジック

2013/05/24 0:53 に 松本リサ が投稿
東北新幹線が八戸まで延びてしばらくし、盛岡から東京に帰ってくるとき、車内にある雑誌「トランヴェール」を見ていたら、「はやて弁当」の記事が出ていた。写真を見ると中身はどうってことないメニューのようだが、弁当箱が我々世代が子供のころに使っていたアルミ製で、しかも蓋には月光仮面のイラストが入っている。オートバイにまたがった月光仮面を「はやて」が追っかけているという図柄なのだが、中身よりも弁当箱が欲しくて、東京駅に着いて買ってしまった、すぐに家に帰れるというのに。

パッケージをノスタルジックにしたら?

昭和30年代のノスタルジックニーズというのが出てきているようで、ノスタルジックイメージの商品が売れている。この時代は日本がまだ素朴で、貧乏でもなんとも思わず、ずるいやつもまだまだ少なく、地道に働き、日本をよくしようとまじめにやっている人がじつに多い時代だった。ここら辺が背景にあるという分析もあるが、とにかくいい時代だった。このころを再現した商品である。

日清食品の「チキンラーメン」が、麺の片面中央に卵を乗せても落ちないように「タマゴポケット」という凹面を付けた新製品が売れているという。45年ぶりの改良だそうだ。ノスタルジックな長ロングラン商品にちょっと機能を加え、テレビ宣伝をしたので、再びのヒットとなったようだ。

ノスタルジック商品をちょっと改良したら?

「ポンセン」は、米や雑穀を加熱して「ポン」と爆発させてくっつけ「せんべい」に加工した、いわば雑穀せんべいだ。最近のアレルギー対応で米を使わない製品が多いようだが、塩も醤油も何にも調味料を使わず、ただ単に雑穀だけを原材料にしている。食べると雑穀お菓子だから、薄い穀類の味がして、じつに素朴だ。これを生産している工場の一つが岩手県にある。東北泉の北上から「日本の背骨」と言われている奥羽本線の横手までを結ぶ「北上線」に乗り、ちょうど中間地点に当たる「ほっとゆだ」駅から車で10分ほどさらに山に入ると、温泉町の外れにこの工場がある。

何でこんなところにぽんせん工場があるかというと、この岩手県のはずれから秋田県にかけての地域で、昔からヒエ、粟といった雑穀の生産が行われてきており、時代に取り残されたまま雑穀の生産を行ってきたところ、今では逆に雑穀ブームになって、結構新しい機械を入れたりして操業をしているのだ。

この工場に、前回行ったときに無かった新しい機械が入っていたので、どうしたのかと聞いたら、ミッキーなどの形に焼けるようにした新型機だという。ディズニーランドでぽんせんを売るようになったのである。ナチュラルブームにぽんせんが乗り、子供たちが食べるようになったということになる。

昔から細々と続いている商品を考え直してみたら?

大分県の豊後高田市は、古いままの商店街がそのまま再開発されないで、看板などもそのまま現在まで残ってしまった。このままでは町が駄目になってしまうということで、何とか活性化できないいろいろ検討したそうだ。再開発をする費用もマーケットもなく、どうしたらよいか考えていたら、町そのものが骨董品のようになっているので、これをそのままにして、ノスタルジックな町そのものを宣伝しようということになった。

昭和30年代の映画の看板の一部なども残っているので、このデザインをそのまま活かした看板を書く人も出て来て、わずかにある近代的なものを隠したり移動したりの「改善」をすることで、タイムスリップしてしまった町並みが出来た。これを売り物にしたところ、最近では大型バスで1日何台もの客が来るようになった。

何もしないまま何十年も経ってしまっているものをキャンペーンしたら?

東京にあるのは、台場一丁目の商店街で、やはり昭和30年代の町並みが人気。巣鴨のとげ抜き地蔵は「おばあちゃんの町」で昔から有名。私の子供のころの遊び場所「目黒不動尊」は毎月28日が「お不動さん」と言っている縁日だが、出店や屋台、鉢植え、おばあちゃんの衣類下着屋、食中毒になりそうな焼き鳥焼きそば、骨董品屋、怪しげな白蛇グッズ、突然老舗の芋ようかん・・・大変なにぎわいだ。

料理でよく出て来るのが日比谷松本楼のカレーライスで、年に一度だけ五円か十円か忘れたが「感謝価格」をすることで有名だ。現在の社長は三代目だということで、何とこの店がある日比谷公園の中で育ったのだという。カレーライスというのは昔は洋食の代表メニューで、カレーライスだけでなくここのコロッケやシチューといった料理を食べたくて、しっかり構えて来た顧客が多かったのである。今ではこのカレーライス、ノスタルジックで売れている。

オムライスが全国的に静かなブームで、ここ数年の間の結構長い間売れ続けている、これもノスタルジックメニューだ。新宿中村屋の本店のレストランで「カリーライス」を食べたことがあるだろうか、これはノスタルジックというよりも、長ロングセラーで昔から売れ続けており、味も変わらず、食べるとホッとするメニューだ。骨付き鶏肉をじっくりと煮込んだ「カリー」をご飯にちょっとずつ乗せながら、骨をしゃぶりしゃぶり外しながら食べ、ワインでもちびちび飲んでいると知ってるわけでもないのに明治大正の香りがするようだ。ハヤシライスは銀座の林さんが作ったメニューで東京発の味だが、これも最近長期にわたって売れているノスタルジックメニューだ。

あなたの商品とノスタルジックの関係を考えてみたら?
Comments