売れるパッケージング

2013/05/25 7:13 に 松本リサ が投稿
商品そのものがいくら良くても、パッケージングが悪ければ、その商品は売れない。過去の食料が少なかったころならば、「おーい、肉を売ってるぞ」とやればそれで良かった。安ければ売れた。ところが、約30年ほど前から、世界の文化圏、特に米国、日本は、特殊な時代に入ってきた。”常に満腹”の時代である。

アジア、アフリカなど、飢餓の国が多い中で、わずかの国が満腹になってしまったのだが、その中で商売をするためには、”売れるパッケージング”をしないと、売れない。

パッケージングには、メーカーサイドのパッケージングと、小売りサイドのパッケージングがあるが、売れるパッケージングと、売れないパッケージングというのは、どのように違うのか、そのいくつかの例を述べてみる。


1.使うトレーで売上の10%がすぐに違ってしまう。


時代と共に、スーパーマーケットのオープンケースで使うトレーは変化している。

以前、透明トレーが出てきたのは、肉の脂肪をトレーの下に隠してパッケージングしてあるのが消費者に不評だったところから来た。という見方もある。

最近のトレーの形は、「角切り」と行って、トレーの角を直線状に斜に角を取ったものになってきつつある。これだと、”R”状に角がなっているのと比べると、お客様が買い物の時に取りやすいことと、見た目にもセンスアップされたものになっている。トレーの素材も良くなっているし、色もいい。

中部地方のある中型スーパーマーケットの例だが、豚肉のトレーを、以前使っていたものを、あるとき全てこの新しいタイプのトレーに変えたところ、商品構成も、アイテムも、価格も、トレー以外はなにも変えていないにもかかわらず、しばらくすると売上は10%程上がっていた。

それ以前のトレーは、形も古いし、いくつかのタイプのトレーを乱雑に使っていたこともあって、見た目に見苦しかった。しかし「見苦しい」と感じていたのは、新しいトレーに変えてからわかったことで、変えなければわからなくて、そのままじりじりと売上が下がっていったのかもしれない。

もっと早く気がつけばよかったとは思うが、気がついたことによって、これからの持って行き方によっては、さらに伸ばしていくことが可能である。さらに伸ばすためには、商品作り、商品構成、ネーミング、陳列手法、ディスプレイ、といった物を総合的に整備していくことである。


2.バーベキューの黄色いトッピングが売れた。


関西地方の中堅スーパーマーケットの例。このスーパーマーケットは、食肉の半加工品が充実している店で、その中にバーベキュー用の串刺しアイテムも取り揃えてあった。そこであるとき気がついたことだが、串の先端に黄色いものを刺すと良く売れる、という現象があった。

バーベキューというのは、長めの串に、肉や野菜を刺すのだが、最後の串の先端に、コーンとか、カボチャといった、黄色いものを刺すと売れ行きがいいのである。なぜそうなのかはわからない。関西だからそうなのか、日本全国的にそうなのか、なぜ黄色なのか、この時期(3〜4年ほど前)の色の流行、トレンドだったのか、わからない、しかし、売れることは売れた。注意深く売れるものを見ていると、こういった現象に気がつく。これなどもパッケージングデザインの関連である。


3.袋に入れた内蔵肉が売れる


内蔵肉というものは、スーパーマーケットに買いに来るお客様の12%程が「食べなければ」と思っている商品である。女性の半分は貧血だし、妊産婦も多い。医者から「内蔵肉を食べなさい」「レバーを食べなさい」といわれている人が多い。

しかし、見た目に気持ち悪い、触りたくない、クサイ、といったイメージで、「食べなければいけないのだけれど、食べられない」という状態なのである。

ある大手スーパーマーケットで、アルミトレーに入りで、味付けをしてあり、後は水をいれればいいだけの「モツ鍋」を売りだしたところ、それほど売れないとそのスーパーマーケットが考えていたのに、ずいぶん売れている。これは、内蔵肉を、簡単に、おいしく食べられるからである。

そこで、生の内蔵肉の話だが、レバーを一度袋に詰めて、それをトレーに入れるというパッケージング方法を取ったところ、売れるようになった店がある。これは、そのままトレーに入れると、ドリップが溜まってきたなく見えるが、ビニールの袋にいれるとそれが無く、きれいに見えるのである。

ちょっとしたパッケージングの工夫で売れるようになるものである。モツ鍋の例は、さらに加工度を高めた高付加価値商品なのである。


4.トレーを縦に使う陳列方法で売り場のボリュームを出す


スーパーマーケットのオープンケースでの陳列方法だが、売り場が狭いのに、次から次へと新しい商品が出てくると、置く場所がなくなってくる。そこで取る方法は、トレーを縦に使う方法である。

縦に使うと、当然横幅が少なくなるから、多くのアイテムを置ける。2倍から、3倍近くのアイテムを置けるようになる。半面、1度に置けるパック数は少なくなる。したがって、量を売るアイテムはしょっちゅう補充しなければならない。ボリュームの点では、オープンケースの最上段を使うと効果がある。

作業上の問題では、普通ならば全部のパッケージを横の状態でラベルを貼ればいいのだが、ある程度のアイテムを縦に使うとなると、どのアイテムを縦の状態でプライスラベルを貼るのかを明確にしておかなければならない。そこら片のマニュアルをしっかりしておかなければならないのである。しかし、狭い売り場で多くのアイテムを販売するためには、売り場を広げることが出来なければこれしかない。


5.スライス肉のパッケージング方法


精肉でも、ローストビーフなどのスライスでも、スーパーマーケットのインストアでパッケージングすることが、難しくなってきている。一方消費者の方は、ますます簡便性を求めてきていて、「手間のかかる下ごしらえは加工済み」といった商品を求めてきている。これは半加工品だけではなく、精肉素材もそうである。”そのまま食卓に出せる焼肉パック”、”そのまま食卓に出せる鍋物用のパック”といった物を求めている。こういったパッケージを出すことである。

スライスからの焼き肉では、スライスをした後の長いままのものをトレーに入れていることがあるが、顧客側に言わせれば、食べやすく一口大にするのに、家でもう一度スライスを短くしなければならないので、面倒臭い。それならば、見せ側で最初から2〜3分割にしておけば、そのまま食卓に出せる焼き肉パックになる。

パッケージを、真空パックにする方法、ガスパックにする方法なども、ローストのような製品ではいい。コストはかかるが、集中的に作れることと、日持ちがする点で、普通のフィルムパックよりも利点はある。500グラムか1キロ程度の業務用にスライスをしたローストを入れ、それを店で販売する直前にトレーに移し替える方法もある。こうすると日付の問題も解決する。

鶏卵肉情報センター「養豚情報」98/2月号より
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