厚切り、ぶつ切りのおいしさ

2013/05/20 2:05 に 松本リサ が投稿
時々行く和食の店で、「今日は何がある?」
この店はその日の魚の揚がりの状況、野菜の入荷状況など、市場の動きによって適当な素材を選んで仕入れてくるので、メニューは毎日変わる。この日は台風の影響で、魚が揚がらず、困っていたようだ。
「今日は素晴らしいレンコンがありますよ」
海が駄目なら陸に行ったわけだ。なるほど。
もちろん料理は天ぷらで注文。

来たレンコンの天ぷらは、普通と全く違う。レンコンの天ぷらといったら、5ミリぐらいの厚さにスライスをして揚げるが、この天ぷらは、厚さが2センチ以上ある。おまけにかなり大きい、太いレンコンなので、まるでテンダーロインステーキ(ヒレステーキ、ヘレステーキ)のレンコン版だ。
これだけ厚いと揚げるのに時間がかかる。その分、素材に含まれている水分が保たれて、ジューシーで美味しい。薄い場合、加熱すると水分が出てしまうが、厚ければ保持される。
厚いので、大口開けてガブッと齧ったら、レンコンが口の中で崩れ、大地のエキスがジュワジュワととび出してきた。おいしーーーい!

顧問先の米澤佐藤畜産の牛肉はとても素晴らしく、時々購入して楽しんでいる。
先日我が家で仕事関係者集めてパーティーを行なったときも、いつものステーキカットを注文した。オーダーは「厚さ4センチ」だ。
これだけ厚いのをどうやって焼くのかと、カッティングする担当者が以前私に聞いたことがある。
別に特別なことはない、フライパンで焼く。
フライパンを熱して、焼く直前に塩コショウをした切り身を入れ、表面に焦げ目をつける。塩をあまり早くかけてしまうと、塩が肉の水分を吸い出してしまうのだ。焼く直前だと、塩とたんぱく質に急加熱することで、肉の表面に膜を作り、中の水分が出てしまうのをカバーできる。
両面を強火でサッと焼き、焦げ目をつけたら、火を弱火にして、フライパンに蓋をし、蒸し焼きにする。こうすると表面が焦げ過ぎないで、中までゆっくりふっくら焼くことが出来る。半ばローストをするような形の焼き方になるわけだ。
水分をたっぷり含んで軟らかく焼き上がったステーキは、1センチぐらいに切り分け、擂り降ろしたばかりのワサビを肉に乗せ、醤油で食べるとさっぱり最高だ。

大分市で仕事が終わって居酒屋に行ったら、地鶏のスモークがあった。
普通鶏肉のスモークと言ったら、丸鶏、あるいはモモ1本をスモーク(薫煙)調理したものが多いのだが、出て来たのは、もも肉をぶつ切りにしてからスモークをかけたものだった。色は真っ黒。
一口食べたら、表面は香り高く薫煙がかかっていて、食感はしっかりし、中はジューシーに出来ていた。
ぶつ切りすることで、コロコロの大きなサイコロ状で調理が出来る。これは、一口サイズで仕上げることが出来るし、中のジューシーさも保つことが出来る。その上、元の部位の形は無くなってしまうわけなので、コストダウンにもなる。モモ1本の大きさをある程度の範囲にしなければならないことがないからだ。
大きすぎたの、小さいのを、全部同じ扱いでいいわけだ。そして、きちんとサイズが揃ったものだけ、モモ1本丸ごとの製品にすればよい。
この製品は、宮崎のメーカーが作っている。
同じこの店で、「地鶏とゴボウの柳川」というのがあったので頼んでみた。
江戸名物に「ドジョウの柳川」があるが、九州に来たらこれが地鶏とゴボウになるわけだ。
この鶏肉もぶつ切りで、それをゴボウと一緒に卵で柳川にしている。
ぶつ切りだからやっぱりコストは安いのと、肉のおいしさしっかりも先ほどの地鶏ぶつ切りスモークと同じだ。

しゃぶしゃぶ、すき焼きは、西日本では牛肉に決まっているが、東北、北海道に行くと、豚肉でやる。
あるとき関西の人と札幌で居酒屋に行き、しゃぶしゃぶ鍋を頼んだ。しゃぶしゃぶ鍋で肉と野菜を食べたあと、残った煮汁でご飯を入れて雑炊か、麺を入れて仕上げ、というわけだ。
鍋が来て、肉が来た。ここは北海道なので、当然豚肉だ。当たり前だ。
関西の人「えーーー、しゃぶしゃぶを豚肉でやるんですか?」
札幌の人「そうですけど……、関西は違うんですか?」
関西の人「しゃぶしゃぶ、すき焼きは、牛肉に決まってます」
札幌の人「えーーー、牛肉でやるんですか?!」
変な会話になってしまった。
ところが、来た豚肉は、薄い生姜焼きに出来るかな、といった、3ミリ近くの超厚切りスライスだ。これにも関西の人びっくり。
この厚切りスライスでしゃぶしゃぶをやると、厚切りのステーキやぶつ切りの鶏肉と一緒で、肉の中の水分は保持される。おまけにしゃぶしゃぶなので、じっくり煮込まないから、余計肉の味を濃く味わうことが出来る。
一枚のスライスは厚いために結構な量になるから、一口では食べられない。真ん中で一噛みして二回に分けて食べるようなことになるが、厚いにも関わらず軟らかく噛み契ることが出来るのだ。
仕上げは麺にしようと意見が一致した。麺が来てまた問題。関西の人はうどんが来るとばかり思っていたら、来たのはラーメンの麺。西日本と東日本、ずいぶん違うもんだと、お互い認識した。
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