ハイグレードポークの商品作り

2013/05/24 18:12 に 松本リサ が投稿
「黒豚」の名前が問題になってきだしたのは数年ぐらい前からだろう。このところ、農水省、鹿児島県が前面に出てきて、大きな問題になってきている。「黒豚」の定義をインターネットで公募するという、方法としては誰でも参加しやすい方法にはなっている。それほどハイグレードポークの問題が深く、ということは売れてきているということでもある。

そのようなハイグレードポークを、販売の現場、スーパーマーケットや小売店の売り場では、どのように販売をしているのか、これから紹介していきたい。普通のレギュラーポークと、ハイグレードポークでは、商品作り、商品化が違うのか?といった疑問を持つ人もあるかもしれない。もちろん原材料は豚肉なのだから、基本的には同じなのだが、ハイグレードの場合には、その高品質性、味の良さ、イメージの良さ、ブランドイメージ、といったものを大切にした商品化をする必要がある。素材の良さを顧客に訴える、ということである。


写真1 ハイグレードポークのミンチ



ミンチというのは、精肉の商品の中でも最も低価格なもので、何も考えないと、ただの安物、と見てしまうが、顧客の立場に立って考えるとそうは行かない。ミンチというのは、最も安い肉、と同時に、易く、いろいろな料理に使えるじつに大事な商品、というのが顧客のニーズである。

ミンチで出来る料理を考えてみると、ハンバーグ、ミーボール、メンチカツ、あらゆる炒め物、あらゆるスープ、シチュー、野菜にまいたり挟んだりしたメニュー、ラーメンの具、そぼろ、と、数え上げたらきりがない。これら多くのメニューに、ミンチが使える、ということは、顧客からいうと、ミンチの品質は良くなくてはならない、ということになる。

ミンチの品質がいい、ということは、どういうことかというと、

1.鮮度がいい

ミンチというのは、肉の最も小さい形である。大きな商品の形はブロックで、切り身、スライス、切り落とし、角切り、となり、ミンチが一番小さい。だから、ミンチにする肉の原料が悪いと、商品化してからすぐに痛んでしまう。見た目でいうと、ドリップが出たり、黒く変色をすることになる。このように変敗したミンチは、顧客の目で見てすぐにわかり、そのような傷んだ、古い、危険な商品は顧客は買わない。鮮度のいいミンチを作るためには、鮮度のいい原料を使い、低温で、素早く挽くことである。清潔な作業場で作る必要もある。このようなことを顧客は潜在的に知っていて、信用の出来ない店舗では、恐ろしいので、ミンチは買わないのである。ミンチを買わないということは、他の肉の商品も信用できないので、買わない、ということになる。

店舗調査に歩いて、良く売れる店舗を見分けるには、ミンチの品質を見たらいい。ミンチがいい店は良く売れている店で、実際ミンチ以外の商品の品質もいいはずである。ミンチが売れると、ミンチの原料が不足するようになる。ミンチの原料は最初はトリミングなどの端材を使うわけだが、売れてくるとそれでは足りなくなってくる。そこでミンチ専用の原料を仕入れることになる。専用原料だから、品質はいい、それに店で出た鮮度のまだいい端材を加えて作るわけだから、いいミンチが出来るのは当たり前である。そうなると、店の信用が高くなってくるので、他の肉の商品も良く売れるようになる。そうなると店全体の売り上げが上がり、さらに回転が良くなり、そうなるともっとミンチも良く出来る、ということになる。

この反対だとどうなるか。ミンチが悪いと、顧客が来なくなる。そうすると肉売り場全体の商品が悪くなる。こうなるとミンチはますます悪くなる。そして坂道を転げ落ちるようにその店の商品が悪くなる、ということになるのである。

2.グレードがすぐにわかる

顧客はミンチに対してこだわりを持っていて、自分の好みのグレードを買いたいものなのである。「上ミンチ」か「並ミンチ」か、ということになる。ところrで、ミンチの表示で大切なのは、鮮度なのか、グレードなのか、脂肪なのかである。そこで最近の表現では、肉の種類、グレード、部位、脂肪の率、あいびきならば牛と豚の比率、といったように、具体的に表示をする。また、脂肪率を20%程度のあいびきにした「ハンバーグ用」といったように、用途を表示する方法もある。

ハイグレードポークの場合は、明らかに豚肉のグレード、ブランドを表示するべきである。また、ハイグレードポークを販売する店舗では、「ミンチは安いもの」という既成概念があり、ハイグレードポークのミンチを作っていないところが多い。

ハイグレードポークを販売している店舗は、ハイグレードポークを中心にして販売しているところと、一般の豚肉を中心にして、一部をハイグレードポークにしているところがある。このうち、ハイグレードポークを中心にしている店舗では、必ずハイグレードポークのミンチを出す必要がある。その店舗に来る顧客は、ハイグレードポークを買う人が多いわけであるから、その中でも最も易くて用途が広いミンチが欲しい、というニーズがあるからである。

この写真の左側は、SPFの黒豚100%の肉を使ったミンチである。SPFの100%黒豚というのはまだほとんどないのだが、この店舗では数量限定で販売を行っている。仕入れはセット仕入れで、バランスをとって商品作りをしている中で、量は少ないながら売っている。表示は「鹿児島産純粋黒豚、赤身上ひき肉、2度挽き」である。価格は百グラムあたり240円。普通の豚肉のミンチからすると非常に高いのだが、この豚肉のグレードのミンチならこういう価格になり、顧客も納得をして買ってくれる。右側は、「地養豚」というブランドポークのSPFで、商品名は「特選上豚、赤身上挽肉、2度挽き」で、価格は190円。この他に、一般のレギュラーポークのミンチもある。


写真2、牛肉のミンチ
もちろん豚肉のミンチだけではなく、他の畜種についても同じである。これは和牛のハンバーグ用のミンチ。ハンバーグ用にはある程度脂肪が入っていたほうがおいしい。そこで和牛100%で、脂肪率を最もおいしいとされる20%にしたもの、メニューまで提案したミンチである。右側は本日の特売で、和牛の赤身上挽肉で、脂肪率を低くしてある、だいたい10%ぐらい。このような高いミンチが売れるのか?という疑問を持つ人も多いと思うが、これを求める顧客はちゃんといる。もちろん大量に売れる商品ではないが、適量のパック数は売れる。この原料肉はこの店で販売している和牛肉で、長い間の信用がある点も重要である。




写真3,子牛のミンチ
子牛は脂肪が少なくて、ヘルシーな牛肉として人気が出てきている。味はさっぱりしていて、ヘビーな和牛と比べて物足りない、という人ももちろんいるが、脂肪を避けたいけど、牛肉は食べたい、という人や、欧米での性格を経験した人には、高品質、高級な食肉である。このステーキもこの店では販売しているが、子牛のミンチもこうして売れている。




写真4,鶏肉のミンチ
左は「伊達鶏」のミンチ、真ん中はこの店での中心ブランドチキン「地養鳥」のささ身のミンチ、右側は「地養鳥」のレギュラーミンチ。


鶏卵肉情報センター「養豚情報」99/1月号より
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