ハイグレードポークの商品5 半加工品の販売方法

2013/05/24 2:18 に 松本リサ が投稿
下味を付けたり、野菜を巻いたり、すぐに調理できるまで串刺しなどをしたりした半加工品は、精肉と、ハムやソーセージあるいは総菜などの完全調理品との間になる。これをどのように販売するかは、肉料理の料理提案がどの程度出来るかと同じことになる。肉料理の提案がかなり出来る形に半加工品を販売できることならば、精肉の販売促進にもなることになる。半加工品は、それを使って簡単に料理を出来ることなのだが、このことから肉料理が面白くなり、今度は自分で精肉素材から料理をするようになれば、精肉そのものも売れるようになるわけである。このように半加工品というものは、半加工品そのものの販売と同時に、精肉素材の販売促進にすることにもなるのである。では、半加工品の販売形態はどうしたらいいのだろうか。


1.陳列コーナー


スーパーマーケットのオープンケースでの販売では、どの位置に販売コーナーを設けるかが問題になる。一般的に言って、顧客の主な流れに沿って、ミンチ、牛肉、豚肉、鶏肉、加工肉、となることが多い。この形は、まず常に顧客の冷蔵庫に無いと不安で、使い道が広く、殆どの顧客が買うミンチ肉を最初に持ってきて、その後に、主力となる牛肉を売り込み、その後価格が安くなる順に並べていき、最後に追加で便利なハムやソーセージをさらに買ってもらう、といった考え方になる。

半加工品コーナーは、一般的に精肉と加工肉との間に置くことが多い。ということは、鶏肉と加工肉の間、ということになる。


2.トレイの使い方

半加工品だけを、木目入りのトレイを使ったり、デリカテッセン用のトレイを使ったりすることが多い。これは精肉と明確にイメージで区別できるためにいいことなのだが、多少トレイのコストが高くなってしまう面はある。しかし、重要なのは売れるようにパッケージをすることだから、これで販売量が向上するならばいいだろう。

もう一つは、トレイを置く方向を精肉のトレイの使い方と変える方法がある。普通トレイは横に置くのだが、半加工品だけは縦に置くのである。一部の半加工品だけではなく、全ての半加工品を縦に使うことによって、精肉と同じトレイを使っているにもかかわらず、全く違う商品だという印象を作ることが出来る。明確に半加工品と精肉は違うのだ、という訴えを顧客にする必要があるから、このようなことをするのである。

なぜこのことが必要なのかであるが、最近の顧客は料理の常識を疑うような状況があるからである。たとえば、アジの開きとサンマの開きがわからない消費者がかなりの確率で有る、数年前のアンケートでは確かこれが30%近かったと思うので、今はもっと増えていると思われる。米を初めて炊く新婚主婦が料理の本を読んで「洗米」をするのに洗剤を入れて洗ってしまったり、ニンジンの皮をむきだしたら、どこまでが皮かわからなくて全部無くなってしまったり、魚の煮物で「落としぶた」と書いてあったので、冷蔵庫から豚肉を出してきて鍋の中に落としたとか、こういった話がいくらでも出てくる。そこで半加工品が「完全調理品」ではないという表現をしなければならないし(加熱しないで食べてしまうことを防ぐ)、肉だけの「精肉」ではないことを知らせてやれなければならない(味のついた肉があると思われても問題)。

ところで、話はずれるが、回転寿司で出て来る「縁側」は、巨大なオヒョウのひれの中の肉を使っている。オヒョウというのは小さくても座布団ぐらいの大きさがあり、アラスカなどでとれるのだが、このひれは昔は捨てていた。しかし、日本の寿司事情を知っている人がこれに目をつけて、ひれの中の肉を「縁側」で出すことを思いついた。したがって価格は安かった。そして回転寿司に出たのだが、特に若い顧客などは「エンガワ」という魚がいると思っている人がかなりいるのである。こういった背景もあるから、半加工品は明確に区別しなければいけないのである。


3.縦にトレイを使った売り場


左にわずかに見えているのは、精肉売り場の最終端の商品で、ここまでは白の発泡スチロールのトレイを一般的に横に使っている。その後、この写真の左にあるハイグレードポークの味噌漬けからトレイを縦に使った半加工品が始まる。右側は鶏肉つくねの串刺しで、ソースの小袋が添付してある。

このように縦にトレイを使うと、精肉との区別が明確になり、トレイのコストも同じということが出来る。さらに、半加工品は一つのアイテムのパック数は少なめで、種類が多いという面が出て来るので、縦にトレイを使うと同じ売り場面積で多くのアイテムを置くことが出来るというメリットも出てくる。


4.横にトレイを使った売り場


この半加工品の売り場は、多段オープンケースの最上段に置いている。左の隅に春巻きの皮が見えるが、ギョウザの皮やワンタンの皮が置いてある売り場である。右側にわずかに見えるのは、「豚足」の酢みそたれ添付のパック。この売り場の場合は最上段にこのような半加工品や加工品、加工品の材料を並べている。オープンケースの最上段というのは顧客の目の行きにくいところなものだから、わざわざミンチとか加工品関係、たれなど、顧客がよく買う商品を並べる方法がある。こうすると目が行きにくいところに、必要度の高い商品が置いてあるものだから、大体の顧客が必要に迫られて目を走らせることになる。これがうまくいくと、オープンケース全体に顧客の目が行くことになる。


5.半加工品はアイテム数が多くなる理由

シーズニングをかけたアイテムでも、「カレー味」「ペパー風味」「ハーブ風味」といった3アイテムぐらいにすぐになってしまう。カレー味は日本人が好きな味付けだし、ペパーはシーズニングの味の基本で、ブラックペパーの粗びきを使えば高品質の風味を楽しむことが出来る。このペパー風味がわかるようになったら、高品質の肉、ハイグレードポークでも、いい肉に対してはいいペパーを使ったほうがいいと、顧客はわかるようになる。そうなるとハイグレードポークがさらに売れるようになるのである。また、ハーブについては、このところ「ハーブブーム」で、料理だけではなく、ハーブを庭で育てたり、風呂に入れたりと、ハーブの精神安定効果も認識されてきているので、ハイグレードポークにハーブ風味を提案するのは重要になってきている。

こういったところで、この3つの味を、ロースのスライスと、バラのスライスに使うだけで6アイテムになってしまう。豚肉だけではない、半加工品の主力は豚肉と鶏肉である。鶏肉についても同じように3つの味と、もも肉、胸肉の2部位に使ったら、もう12アイテムになってしまう。この豚肉と鶏肉のそれぞれ2アイテムというのは必要な最低の販売部位なので、鶏肉ではこれに手羽先も必ず必要なものになる。シーズニング味だけでこんなになってしまうのだから、どれだけのアイテム数に増えていってしまうか想像がつくだろう。もちろん全部を作ることはないのだが、出したいアイテムがどんどん出て来てしまうのは間違いない。

多くなっていくアイテム数は、売り場面積からいっても、作業の量からいっても物理的に無理なので、制限を入れなければならない。そのためにはまず出したいアイテムを出して売り込み、それでもなかなか売れないものについては、顧客がそのような判断をしているわけだから、やめればいい。

もう一つは、作るパック数を少なくすることである。精肉のパックは、売れ筋のアイテムについては量を販売したほうがいい。しかし、半加工品では、アイテムを多く、そのかわりに一つのアイテムのパック数は少なく作る。多くの味を、少しのパックを作って販売する、ということになる。


鶏卵肉情報センター「養豚情報」99/6月号より
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