ハイグレードポークの商品4 半加工品

2013/05/24 2:20 に 松本リサ が投稿
小売店の食肉売り場には、3種類の商品がある。精肉そのものと、たれ漬けなどの下味をつけた半加工品、それに加熱までした完全調理品である。その中で、半加工品と完全調理品についての解説をする。

半加工品のコンセプトは、下味をつけてあって、あとは焼いたり揚げたり煮たりといった調理をするだけで、本格的な料理が出来る、という点である。代表的なのに「たれ漬けの焼き肉」がある。ハイグレードポークでの商品の場合、肉そのものの味をひきだすことが重要である。たれ漬けなどの場合、顧客のイメージは、残り物に味をつけてごまかして売っているのではないか?といったことがある。実際にそのように販売している小売店があるのだから、疑われても仕方がない。

ハイグレードポークの場合には、精肉のスライスや切り身と同じ品質の肉をそのまま使わなければならないのはもちろんのこと、ハイグレードポークを買う顧客の下のグレードに合わせた味でなければならない。たれ漬けならたれ、みそ漬けならそのみそもハイグレードでなければならない。また、調理済み製品では、ハイグレードポークを使っているからには、レストランレベルの仕上がりが要求される。


写真1 みそ漬け


左側は、ロースの切り身を味噌漬けにしたもの。味噌はブリなどの魚用の関西風の味噌をベースにして、豚肉に合うように改良をしたもの。本格的な味噌漬けは、肉をさらしで巻いてから味噌に漬け、直接肉に味噌を付けないで、風味を付け、同時に日持ちと熟成をするもので、牛肉の高級品で、贈答用によく使われる。しかしハイグレードポークの味噌漬けは、手軽に家庭のおかずにして食べてもらうために、直接味噌を付ける方法でいい。大事なのはみその味になる。

右側はスペアリブのパックに「スペアリブソース」の小袋を添付してある。スペアリブは以前は骨付きの豚肉製品があまり一般的ではなかったのだが、最近は骨付きのおいしさというのがわかってきているので、よく売れるようになった。食肉の部位別においしさを比べてみると、あばら骨とあばら骨の間にある肉、が、一番味があっておいしい、という専門家が多い。少し硬いのだが、ゆっくりと噛んで味わうと、実においしい部分である。

これをうまく調理するには、下味を付けて、オーブンか、ガスレンジのグリルでゆっくりと焼くといい。スペアリブ用のつけ込みソースは、ケチャップベースや、醤油ベースが一般的だが、野菜エキスや、調理料の使い方で、バラエティに富んだ味を作ることが出来る。バーベキューをするときはこのソースを工夫して作るのが楽しみな人も多い。このパッケージのコンセプトは、手軽に添付してあるソースに漬け込んで、あとは焼くだけ、というものである。


写真2 アルミホイルパック


「ホイル焼き」というのが流行っている。アルミホイルで肉や魚の素材と、ソースやたれ、副材料を一緒に巻き、グリルで焼く方法だ。この方法だと、素材の味が外に逃げないで、焦げもせず、ふっくらとジューシーに料理が出来る。

米国には「クッキングバッグ」という、耐熱のプラスチックの袋があり、この袋の中に入れてオーブンで焼くという方法が古くから行われていた。日本でも流行らないかといくつかのメーカーが以前挑戦をしたものだが、なかなか浸透しないまま忘れ去られていった、という歴史があるのだが、これがアルミホイル焼きとして出て来たことになる。

このパックは、アルミホイルをトレイの上に乗せてから、余った部分のトレイの後ろに回し、その上に味噌漬けの豚肉を入れたもの。料理するときは、フィルムを外してから、裏側に巻き込んであるアルミ箔を戻して肉を巻き込み、グリルで焼く。


写真3 野菜巻き


肩ロースのスライスで野菜を巻き込んだもの。このメニューは主婦向けの料理の本などによく出ているもので、肉と野菜をバランスよく料理することが出来るので、人気のあるメニューである。しかし、最近の主婦は肉に直接手で触るのをいやがる人も多く、このように半加工、下作りまでしたものを小売店側が作る必要も出て来ている。中に入れる野菜はその季節に合わせたり、低価格のものをうまく工夫していい。日替わりで適当に中の野菜を変えたり、いくつかの野菜を組み合わせることもいい。中に巻いてある野菜がパックの上からわかるように巻き込むことも大切である。


写真4 店内加工のハンバーグ


ハンバーグというと、メーカーからのパックをそのまま加工品売り場に並べるということになっているが、このハンバーグは、ハイグレードポークの端材と、牛肉の端材を使って、店のバックルームで手作りをしたもの。ハンバーグというのは低価格で人気のものになるが、このハンバーグの肉素材にもハイグレードポークを使っている。この店では牛肉と豚肉の端材の比率が8:2ぐらいで、牛肉が多い。この比率に合わせて味付けを考えなければならない。

店内でハンバーグを作る際に問題になるのは、味付けの加工に時間がかかることである。塩、スパイス、オニオン、その他副材料や調理料で、これらを正確にミックスをして、混ぜ込む肉の量に合わせて計量をするのは、忙しいバックルームの作業の中では大変である。作る都度ミックスをするのが大変だからといってまとめて作ると、ハンバーグの鮮度が落ちてしまって、おいしくない。そこで考えたのは、インストア加工用の独自のシーズニングを開発することである。

この店の場合は、乾燥オニオンも含めて全てを粉末の状態で、仕上がりは生素材を使ったものとほぼ同じレベルに出来るように工夫をした。開発するのにかなり時間がかかった。使い方は簡単で、ミンチ肉に、規定の比率のこのミックスパウダーを入れ、水を入れて練り、成形をするだけである。


写真5 焼き豚


これも店内加工である。焼き豚の素材は毎日部位が違うが、20〜30キロの材料を焼き豚用にブロックカットをし、専用のロースターで調理する。つけ込み液もこのハイグレードポークのグレードに合うように工夫をして開発をした。ロースターは香港から直接買ってきた本格的なものを使っている。

この小売店は別会社として中華料理のレストランチェーンもやっていて、その本場の味に定評がある。そのわけは香港から2年交代で香港人のシェフを入れているからで、こういった技術や道具を精肉の加工品のところまで導入している。

この焼き豚は利益が取れるし、部位は適当にその日ごとに使っているから、これで部位のバランスのロスはなくなってしまう。部位は肩ロースやもも系統が多くなるが、混合してしまってなぜ問題がないかというと、スライスをして販売をしているので、カット断面がわかり、顧客の好みによって勝手に選んでくれるからである。脂肪を嫌う顧客はもも系統を買うし、柔らかさと脂身を好む顧客は肩ロース系を買ってくれ、適当に無くなってしまうのである。

焼き豚をメーカーで造ると、部位と形状を出来るだけ同じにしようという努力から、かえって低レベルの品質に合わせることになってしまっていることが多い。この点店内加工の焼き豚では、ロスを無くし、ハイグレードのまま販売できるという利点がある。その分店内での手間がかかることになるが、ハイグレードポークを販売するならばここまで顧客に提供をする必要がある。


写真6 焼き豚の端部分


左側のパックは、百グラムあたり320円、右側のパックは端材をスライスしたもので、290円での販売価格になっている。売価を調整することでもロスをなくすことが出来る。焼き豚を好む人は、右側の端材をスライスしたものの方が食べやすくて価格も安いから、という理由で買う人も多い。

鶏卵肉情報センター「養豚情報」99/3月号より
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