ハイグレードポークへのシーズニング活用の勧め

2013/05/24 18:14 に 松本リサ が投稿
米国では最近豚肉が見直されてきている。その理由は2つあり、ひとつは豚肉の脂肪が少なくなってきていること、そしてもうひとつはスパイス、シーズニングを使った料理が、豚肉の利用を促進している、ということである。

「TEX MEX」という料理があり、これは、テキサス料理とメキシコ料理をミックスしたメニューである。両方ともスパイスをたっぷりと使った料理で、長い間ブームが続いている。豚肉ばかりではなく、すべての肉料理に、魚も含めて多く使われるようになってきている。このようになってきた背景には、味、ナチュラル性、使いやすさ、見た目の豪華さ、などがある。

シーズニングはまた料理の味をグンと引き上げる。身近な例では日本の「七味とうがらし」や「山椒」である。これのいいものを料理に少し使うだけで、料理のグレードは瞬時にアップする。こういったものにこれから取り組んで行かなければならない。

取り組むに当たっては、生産者、供給者独自で進めてもいいが、小売店、フードサービス企業と協力して勧めるほうが効果的なことはもちろんである。


まず、単純に、ポークステーキへブラックペパー


まず、一番単純なのが「ペパーポークステーキ」である。ロースの切り身に、ぱらぱらとブラックペパーの荒びきか中びきをかけて「ペパーポークステーキ」として販売する。店頭でお客様に「豚肉の切り身に、ブラックペパーで焼いたらおいしいですよ」と言っても、大抵は辛さだけあって、香が余りない「コショー」を使って焼いてしまう。家庭にいいペパーが無いからである。それならば「ブラックペパーも買っていってください」と言えばいいかも知れないが、それで買っていってくれるお客様はそう多くはないだろう。ポークステーキ一枚焼くのに、わざわざ高いブラックペパーをかうことは、積極的には余りしてくれない。

それならば、切り身のパックの2割位にブラックペパーをかけておけばいい。価格はレギュラーと同じ価格でも、販促のためにはいいだろう。そうすると、「試しに」ということでそのペパースポークテーキを買っていったお客様は、焼いたときにその香りの良さにびっくりするだろう。ここで始めて本格的なポークステーキを出来る家庭がひとつ増えたのである。「ペパーポークステーキ」が新しいお客様を増やしたのである。「ペパーポークステーキ」というメニューそのものを販売する、つまり提供した。そして、それをきっかけに、「ブラックペパーで焼いたらおいしいですよ」ということを提案したのである。この「商品による直接的な提案」というのは、POPやラベルでやるよりも効く。


シーズニングとは


ミックススパイスに、塩、調味料を加えて、肉にかければそのまま焼けるものである。塩は肉を焼くときに必要なもので、これに原始的にはペパーを加えて「塩、胡椒」になるのだが、シーズニングはもっと複雑で、色々な種類のスパイスが入っている。

さらには、味を引き立てるために、肉の旨味、エキス、色々な調味料も入れてある。数種類以上、数十種類のミックスにもなる。

このミックスの仕方は、混ぜる数でわかるとおり、そう簡単にできるものではない。スパイスのミックスの方法は、音楽のハーモニーを作るようなもので、何をどのように、どういったものを混ぜるかで、無限の味を作り出すことが出来る。


スパイスは元々は薬


スパイスというのはそれぞれに薬効がある。ところが、薬事法で、シーズニングを売るときに、これらの薬効をうたうことは出来ない。また、現在ではまだ消費者の間に「スパイスは薬の面がある」ということを知っている人は少ない。しかし、これから次第にこのことが知られていくようになっていく。

ナチュラル指向、ヘルシー指向の今日、この流れは単にブームではなく、生きていくために非常に重要なこととして認識されてきているのだから、ハイグレードポークをさらに売り込むために、シーズニングに取り組むということは、長期的に消費者の指示を得ることに繋がっていくことは間違いない。


シーズニングは、メニュー、食べ方の革新的なパワーになる


シーズニングを作るには、方向、コンセプトを決めるところからスタートする。

和風にするとか、メキシコ風にするとか、イタリアンにするとか、辛くする、マイルドにする、色はどうする、など、自由にコンセプトを決めてから進める。ある人がこのコンセプトを「南国の夕焼けみたいに」という詩的な表現を使ったことがあるが、これでもいいのである。そして、開発したものは、その企業、その店にしかない味になる。作り出す、創造するのは大変なことになるが、これによって独自の味が出来る。それがおいしいものならば、その味を求めて固定客が出来ることになる。

企業独自に開発していることはまだ多くはないが、これから革新的な食肉の商品開発をしていくには、このシーズニングは非常に大切なものになっていく。

今までは燒肉やステーキのタレ、ソースを開発し、店の味に育ててきたが、これからは「液体から紛体へ」と、シーズニングである。シーズニングが液体に比べて有利な面は、液体はかなり大量のロットでなければならないのに対して、紛体だと極く少量でも製造出来ることである。処方箋さえしっかりしていれば、液体のトン単位ではなく、キロ単位でメーカーに作ってもらうことが出来る。

であるから、小規模でも自社の味を作ることが出来るし、多くのバラエティーを作ることも出来る。ミンチ用、ステーキ用、バーベキュー用、チキン用、といったように。


簡便、豪華、エスニック


ミートデリはこれからの食肉の売上と利益を作っていくが、シーズニングはそれの強力な力となる。なぜならば、振り掛けるだけで本格的な味になるし、調理も簡単だからだ。おまけに見た目に豪華に見える。

シーズニングというのは、粉の形で使うことが多いが、本格的な使い方は、細かくひいてしまうのではなく、荒びきにすることである。ブラックペパーでわかるとおり、中びきか荒びきの方が香りはいい。そして荒びきの方が豪華に見える。

エスニックは「民族料理」だが、日本でもこのところエスニックレストランが流行ってきていて、地方都市にも何らかの形である。エキゾチックなイメージのエスニックレストランが浸透すれべするほど、スパイス、シーズニングがより身近になる。そんなメニューを、レストランでだけではなく、家庭で、安く、気軽に食べられるようにするのもミートデリの役目である。


シーズニングステーキ


そこで、最初破綻にブラックペパーをかけただけでスタートをしたのだが、次に、単純なブラックペパーではなく、本格的にミックスしたシーズニングに発展させてみよう。ポークのステーキは、価格も手頃になるし、調理方法も、フライパン1枚、あるいはガスレンジのグリルで焼くだけなので、提供、提案することによって、これから売れていくだろう。

売上と利益の面でも、単に「ロース切り身」で素材のみを販売することだけではなく、「ステーキ」としてメニュー化して売ることによって、ユニットプライスでなく、1枚いくら、1パックいくら、で販売できるから、利益の点でも貢献するようになっていく。


バーベキュー


バーベキューが静かなブームである。夏だけではなくて、1年中楽しむメニューになってきている。レストランにおいても串刺しのバーベキューメニューはあるし、家庭のキッチンでもガスレンジのグリルで簡単に網焼きが出来る。バーベキューというのは、網で、脂肪を落しながら焼くために、くどくなく、さっぱりとしたメニューになるので、ヘルシー時代に人気が出てきているのである。また、アウトドアブームもこれにあっている。そしてこのバーベキューに欠かせないのがシーズニングである。

バーベキューのアイテムは、串刺し、ポークスペアリブ、チキンの骨付類、ステーキ類、ハンバーグ類、その他かなりのアイテムになる。


カツなどの下味を善くする


カツの「衣付け」アイテムが販売されているが、これらの下味は単に塩と胡椒のところが多い。もちろんそれでもいいのだが、より本格的に、自店にしかない味を出すためには、その下味にも一工夫したらいい。カツの味に合わせた下味用のシーズニングを作るのである。


惣材とも連動できる


良いシーズニングがあれば、それを総菜部門でも使ったらいい。トンカツなどのベーシックで売れるアイテムがさらにおいしくなることになるのだから。


開発はメーカーに協力してもらう


最初に書いたように、シーズニングというのは非常に奥が深いものなので、プロの力を借りなければならない。これをスパイスメーカーに協力して開発するようにしたらいい。

すでにメーカーはいくつものパターンのシーズニングを持っているが、今回書いたような目的で作ったものではないことが多いので、主旨を良くわかってもらい、そこから店の味を作っていくことである。


鶏卵肉情報センター「養豚情報」98/12月号より
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