ハイグレードポークは20%を目指す

2013/05/24 18:33 に 松本リサ が投稿
ハイグレードポークを売るためには、2つの方法を取る。一つは、全てをハイグレードポークに変えてしまう方法。もう一つは、普通の豚肉と一緒に売る方法である。

前者は、今まで販売していた豚肉との価格差があまりあり過ぎると、失敗の原因になる。しかし、わずかの差ぐらいならば、スーパーマーケット全社の方針がしっかりとしていれば、成功する率が高くなる。実際に成功例がいくつもある。

この場合、全てをハイグレードポークに変えた後、しばらくしてから、お客様から苦情が出る例がけっこうある。苦情は、「安い豚肉をなぜおいてくれないの?」というものである。そこで、少しのアイテムだけ、一般の豚肉を再び置く、と言う逆のこともある。この場合、輸入の低価格の豚肉を使うことが多い。輸入品は、ロースとテンダーロインだけを低価格で帰ることが出来るからである。こうなっても、主力となるポークの売上は、ハイグレードポークであるから、こういった事例でも、心配はない。


一般の豚肉と一緒に併売する場合だが、目標とする構成比は、ポーク全体の売上の20%を、ハイグレードポーク、にすることである。20%あれば、ロスの問題は無くなる。これ以下になればなるほど、売り場はみすぼらしくなるし、ロスも出ることになる。

ポーク全体の中のハイグレードポークの構成比が、5%程度でしかないスーパーマーケットは、けっこう多い。はっきりとしたコンセプトを持っていれば、ハイグレードポークは売れるのだが、担当者も含めた全関係者に、しっかりした認識がないために、何となくハイグレードポークを置き、何となく「あまり売れないな〜」となっている例がかなりある。せっかくのいい機会なのに、ニーズがあるのに、それを売上と利益に結び付けられないのは、誠にもったいないことである。


伸びない理由は、どこも大体同じである。


第1に、ハイグレードポークの説明、キャンペーンを、消費者に対して行なっていないことである。導入当初には、ポークの特長をキャンペーンをしても、その後、一度も本格的なキャンペーンはしていないことが多いのである。

なぜしないかであるが、積極的に売り込もうとしていないだけにすぎない。スーパーマーケット側も、メーカー側も、両方とも、この基本的に重要なことをおろそかにしていることが多い。最初にキャンペーンをしたから、お客様はちゃんと知っていてくれている(だろう)という考えがあるのかも知れない。しかし、何年も前に行なったキャンペーンのことを、「覚えてくれているのではないか」と考えるのはおかしい。

キャンペーン、訴え、というのは、常に継続してやらなければ、意味がない。それも、時々「強化月間」ぐらい作って、特に強調する時期を意識的に作ったりする必要もある。

古い話だが、「禁煙パイポ」という、煙草をやめたい人のための商品があったが、あれを売りだしたときに、テレビで大々的な宣伝をした。そのおかげで、大量に売れたのだが、生産が間に合わなくなったために、一時テレビ宣伝を中止した。ところが、中止した途端に、全然売れなくなってしまったのである。そこで宣伝をまた再開した途端、また快調な売れ行きにすぐに戻った。ということである。

短期間のことでもこのようになるのだから、何年にもわたって何もやらなければ、お客様はハイグレードポークのことなどは全く忘れているに決まっている。


第2に、キャンペーンを行なっていないことも原因なのだが、現場の販売担当者の意識が、ほとんど無いということである。

知識がない、なぜこのポークを扱っているのか、意味がわかっていない。ハイグレードポークのコンセプトを現場レベルにまで徹底しなければならない。


第3に、現場の認識がないから、売り場作りが全く出来ていない。2アイテム、2フェース、などという陳列で、20%に行くわけがない。


第4に、ハイグレードポークのメニュー提案を全くしていないことである。季節によって、ポークの料理は変化をする。一般家庭での料理のメニューというのは、保守的で、あまり目新しい料理はしないのであるが、しかし、新しいメニューをやってみたい、挑戦してみたい、試してみたい、という意識は、実はしっかりとあるのである。

そんな時に、重要なのは、売る側で、いろいろなメニュー提案をすることである。その提案を、お客様はそのままやるとは限らないが、ポークを買う動機、きっかけには十分になるものである。単にポークが置いてあるのではなく、具体的な料理として売り込んであれば、購買動機になるのである。

「ポーク」という商品ではなく、「料理」を売るのでなければならない。この提案を、ハイグレードポークで行なわなければならない。ハイグレードポークで料理したら、とても美味しかった、となれば、そのお客様は、ハイグレードポークの固定客になる。


これから、気持を入れ替えて、ハイグレードポークを売り込むためには、以下のことを行なっていかなければならない。


1.ハイグレードポークはどういった特長があるのかのキャンペーン
何がいい点なのか、安全性、美味しさ、鮮度など、一般の豚肉に比べて、どういった点が違うのか。だから価格が多少高くても、食べてもらう価値はある。と言うことを、わかりやすく、徹底的に教えるのである。全く新しく売りだすのと同じ気持にならなければならない。


2.現場担当者の意識づけ
キャンペーンを行なうことによって、かなりわかっていくだろうが、同時に、社内教育、試食、料理方法のマスターなどを行なう。


3.メニュー提案の計画立案
そのために、スーパーマーケット側も、メーカー側も、綿密な計画を立てなければならない。

1年間を、週単位で分け、それぞれの週に、どんなメニューを提案し、そのための商品は何にするのか、そのメニューのために、特別なカッティング、商品作りが必要なのか。例えば、焼き肉用を提案するならば、スライスそのままではなく、一口大にカットをした商品が必要になる。

メニュー提案の方法であるが、よく行なわれるのは、料理カードを作ることであるが、最近では、あまり効果的な方法とは思わない。確かに、何もしないよりも増しであるが、以前のように、料理を「勉強」したい主婦は減ってきている。そのために、「一目でわかるメニュー提案」が必要になるのである。

どういうことかと言うと、例えば「ポークのバター焼き」の場合、料理カードや、POPで、バター焼きに提案をするのではなく、ポークのパッケージの中に、バターを入れてしまうのである。そして、商品名で、「ポークバター焼き用」とするのである。こうすれば、一瞬でわかる。

同じように、「ポークステーキ」ならば、ステーキソースを付けたり、「シーズニングステーキ」「スパイシーステーキ」ならば、シーズニングをかけたり、小袋を付けたりし、商品名を「ステーキ用」にするなり、ラベルを貼れば、すぐにわかる。

こういった、簡潔で、わかりやすい、メニュー提案をし、そのメニュー計画を組み、売上を押し上げる元とするのである。


4.半加工品
シーズニングを付けたステーキ用とか、バターを添付したバター焼き用などは、半加工品である。料理をする時間が少なくなったり、料理そのものをしなくなってきている最近、簡単に、しかも本格的な料理を食卓に出したいニーズがある。そのための切り札は、半加工品である。このアイテムを、ハイグレードポークで充実させなければならない。インストアではなかなか手がなくて出来ない、と言うのであれば、センターとか、アウトパックにしてでも、充実させる必要がある。


これらを具体的に進めるには、モデルとなる店を1〜3店舗決め、その店で集中的に売り場作りをし、販売実績を上げるのである。

ハイグレードポークが本当に売れるのか、社内的な姿勢を固める前に、売れるということを実績として表わさなければならない。インストラクターとか、専門の販促担当者がいるならば、1ヵ月位、徹底的に売り込んで、しっかりした実績を出せばいい。

構成比5%位だったならば、少し力を入れれば、すぐに売上は上がる。20%までにするということは、それまでの4倍を売ることになる。この後、全店に展開する計画を作ることになる。


鶏卵肉情報センター「養豚情報」1998年8月号より
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