ハイグレードミートをスーパーマーケットで販売を開始する前に

2013/05/25 6:41 に 松本リサ が投稿
ハイグレードミートであれ、ブランドミートであれ、スーパーマーケットで販売を開始する前には、この商品は、どういったコンセプトで、なぜそのスーパーマーケットで販売をするのか。という基本的なことが重要である。

そのような基本的なことを検討したあげくに、新しく販売を開始するようになったのだから、そんなことはわざわざ言わなくてもいい、と言うかも知れない。しかし、スーパーマーケットのバイヤー、トップと、メーカー、パッカー、生産者側は、分かっているかも知れない。ところが、肝心の、店の担当者の方が、ちっとも分かっていないことが実に多い。

ほとんどが、新製品を販売開始するときに、現場、店が、どういった商品かということが分からない状態、といってもいい。

店が、何も分かっていないまま、販売を開始すると、どういうことになるか。担当者は、どういう商品か、なぜ売るようになったのか、どういうメーカーのものなのか、どのように売ったらいいのか、特長は何なのか、欠点は、美味しいのか、辛いのか甘いのか、実に基本的なことが分からないまま始めなければならない。

売価や使用トレー、商品名などは、本部から通知が来る、だから、それだけで販売を開始することが出来る。ところが、それは、ただ「陳列ケースに並べる」ことは出来るけれども、いざ、お客様に「この商品はどういうの?」と聞かれた場合、何も答えられない。

「美味しいの?」と聞かれて、食べてもいないのに「美味しい」と言わなければならない。「どうやって料理したら一番いいの」と聞かれたら、「ラベルに書いてあります」となってしまう。


普通、新商品の販売を開始するときは、試食をし、価格の検討をし、売り方を決め、それを店に指示書として出す。同時に、販促物があれば、使い方を説明した書類と現物が行く。

ところが、それだけで始めると、いい販売のスタートにはならないことが多い。それは、商品に、気持が伝わらないからである。店の担当者が、その商品を、試食したり、メーカーやパッカー、生産者から話を聞き、実際に自分で商品作りをし、問題点を考え、解決した中から、自分流の販売方法を考え出すことをすれば、その担当者は、その商品に対して愛着がわく、そうなれば、店での販売に力が入る。ただ置くだけではなく、新しい商品の前に立って、商品の説明をしたくなるのである。

コンビニエンスストアで新商品を売るのと、スーパーマーケットで新商品を売るのは、全く違う。

コンビニエンスストアでは、商品を置き、それがどういう売れ方をするのかを見、その状態で、テスト販売から、本格的な販売をするかどうかを決める。なぜならば、コンビニエンスストアでは、商品を説明しながら売ることは出来ない、コンビニエンスストアでは、置いてみて、自然に売れる商品を集めることが必要なのである。たとえ売れる商品でも、数ヵ月経つと売れなくなっていくものが多い、そして、新しい商品に入れ替わるのである。

しかし、スーパーマーケットでは違う、そのスーパーマーケットで売れる商品を、自分で育てていくことが出来る。

スーパーマーケットで、新商品を検討するのは、本部のバイヤーである。だから、バイヤーは、その商品のことを良く考える。しかし、店の担当者は、知らないまま、新商品の販売がスタートしてしまう。ここに間違いがある。

それならば、店の担当者全員が考えたらいいのかもしれないが、そんな時間はない。検討会も現実的にできないことがほとんどである。

そこで、これを解決するために、説明会を開くといい。


スーパーマーケットでは、大体は月に1回位、店の担当者全員が集まる会議がある、そこで、販売予算や利益などのミーティングが行なわれるのだが、この時に合わせて、出来れば30分位、難しければ10分でも、これから扱う新商品についての時間を、メーカー側、パッカー側がもらうのである。そこに、かならず生産者側も出ることである。そして、このことを、売り込む側から提案、要望をするのである。

バイヤーは、実は、新しい商品を決めたとしても、それを店の現場に、如何にうまく伝えようか、考える。ところが、忙しい。では、販売がスタートしてから、店を回ればいいのかもしれないが、そんな時間もないのが現状なのである。

それならば、しっかりとした指示書を作ればいいのかもしれないが、自分以外の人に、自分が考えていることを使えるというのは、実に難しいものである。知っていること、伝えたいことの数%もつたわらないものである。

そこで、「説明会」として、時間を取ってもらい、試食をし、商品の説明もし、販促物の使い方も言い、生産者の紹介もしてもらって、短いあいさつをするのである。

バイヤーは生産地まで行っていても、店の担当者は行っていない、しかし、どういったところで、どういった人が作っているのか、という不安は、潜在意識の中で付きまとっているものである。消費者も同じである。だから、最近、産地を明示した野菜などに人気が出て来ているのである。だれが作っているのかが分からないと、不安なのである。輸入牛肉に対して不安のある原因は、生産者が見えないからである。

そこで、説明会で、生産者の顔が見え、話を聞くと、安心する、親近感がわく。写真も持っていったほうがいい。

そして、カットをし、どのようにトレーに盛り付けるかまでやれば、生産から、商品作りまでつながって分かる。最終の試食まで行なうことによって、その商品のことが全て分かるのである。この後で、商品が実際に店に行き、販促物も行けば、最初からいい販売のスタートにすることができる。


販売開始の頃に、イベントを行なえればいい。ハイグレードポークの販売ならば、試食用の肉を提供し、店の店頭ででも、バーベキューの試食会などを行なうのである。

「新しく販売を初めて、今度の高級な豚肉の味を見てください、それから店に入ってください」という具合に、試食、味見をしてもらってから、店に入ってもらうのである。

こういったことをやると、売り場で買ってきた肉を「焼いてくれ」とか、バーベキューをしているところで「その焼いた肉を売ってくれ」などというお客様が出て来る、こうなれば成功である。


その後、販売が継続していく中で、メーカー、生産者は定期的に店を訪問したらいい。もちろん、状況の把握に、バイヤーのところには行くだろうから、そのときに、いくつかの店を回ったらいい。

この目的は、販売状況を見ておくと同時に、店の担当者と話をする、という重要なことがある。店の担当者は「最初の説明会に来てくれた、生産者の人」ということで分かってくれる、そうなると、またその商品に愛着がわく、ということになるのである。

生産地と、販売するスーパーマーケットは、離れていることが多い、行くのに時間がかかる。しかし、行ったほうがいい。時間をかけて、スーパーマーケットの本部と店に行き、店にはほんの10分しか居れないかもしれない。しかし10分でも、行く価値はある。海外に行くわけではないのである。

また、もっと積極的に時間が取れるならば、いくつかの店での試食販売も行なったらいい。スーパーマーケットはマネキンの販促が今まで主体だったのだが、何か新しい販促手段はないものか、とい、いつも考えている。そこに、生産者側からの提案があれば、乗ってもらうことができるだろう。


生産者側、パッカー側、メーカー側が一緒になって、こういう行動をおこせば、新しい商品のスタートは、友好的に、スムーズに行くことになる。こういったことは、難しいことではない、重要なことは、時間をどのように使うか、取るか、である。場所が遠ければ遠いほど、かえって誠意が見えるということもある。


鶏卵肉情報センター「養豚情報」98/9月号より
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