高品質トンカツをローストポークから作る方法

2013/05/25 16:46 に 松本リサ が投稿

豚カツが売れている。チキンがロティサリー(あぶり焼き)で、揚げ油を嫌う傾向になっているのに、何で揚げ料理の豚カツが流行ってきているのかよくわからないが、とにかく現実に売れているのだから、この流れに乗ったほうがいい。売れる豚カツを開発するには、本格的な豚カツ調理を応用し、外食レストラン、惣菜、更にはファーストフードまで導入することを考えたらいい。

本格的な豚カツ店では、「2度揚げ」を行っている。最初に低温でゆっくりと揚げ、一度上げてから、今度は高温の油に入れて表面をかりっとさせる。最初に低温で揚げるということは、厚い切り身でも、中までじっくりと火を通せるからである。本格的な豚カツは厚い切り身を使う。それをふっくらと調理するのである。普通に揚げたのでは、中まで日が通らないうちに、切り身の表面が揚がり過ぎてしまって、硬くなる。中までじっくりと火を通し、なおかつ全体を軟らかくするには、低温でゆっくり揚げることが必要なのである。そして、一旦油を切って、落ち着かせてから、表面を「仕上げ揚げ」するのである。

この方法をそのまま行うことは、作業効率からなかなか出来ないし、技術的に難しい。老舗の職人がいるから出来るのである。しかし、これに近い方法を、技術者無しに、安定して行うことが出来る。それはロースト調理を応用することである。

まず、ロースでも、肩ロースでも、原料となる豚肉をブロックのままローストする。ローストポークを作るのである。ロースト調理をするには、普通のコンベクションオーブンでもいいが、低温でローストするほうが軟らかく、歩留り良く出来るので、出来れば輻射熱を使った低温調理オーブンか、スチームコンベクションオーブンを使ったほうがいい。普通のコンベクションオーブンが180℃ぐらいで焼くのに対して、低温調理は120℃ぐらいで焼く。スチームコンベクションの場合は、スチームも一緒に使うので、肉が乾かなくてしっとりと焼ける。普通のコンベクションでは歩留まりが70%ぐらいになってしまうが、低温調理だと90%以上にもすることが出来る。この差は、重量であり、軟らかさであり、利益になる。

この出来上がったローストポークを、そのままでもいいし、一旦冷蔵して冷やしてからでもいいが、切り身にする。その切り身に衣を付けて、高めの温度の油で表面をさっと仕上げ揚げをするのである。

この方法は、老舗豚カツ店の「2度揚げ」に近い効果になる。その上、ロースト調理さえしっかりとしていれば、仕上げ揚げはだれにでも出来る。肉の中心まで既に調理済なので、表面の色を見ていればいいのだから。更に、オーダーが来てから揚げるよりも早く揚がる。どんな厚切りでも出来る。5センチでも、10センチの厚さでも、中まで焼けているのだから、問題ない。ロースト調理でのポイントは、肉中温度をO-157対策で70℃まで揚げる。

食肉通信 96/12月号より
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