端材の商品化

2013/05/24 0:59 に 松本リサ が投稿
ほとんどの食材には端材が付き物である、トリミングになったり、特殊な部位になったりする。これらを利益の取れる商品にすることが出来れば、新しい売り上げと利益の元にすることが出来る。

チキンスペアリブという商品が生まれたいきさつの一つだが、もともと手羽先は先端のチップが付いたままの部位として販売されていた。しかし、食べにくいとか、高く売れないといった面もあり、何とか出来ないかと考えていたところ、先端を外してしまえば小さな丸太状になるので、食べやすくなる。先端を外した分だけ高くユニットプライスをし、先端部分はスープ用などとして処理すればどうかとなった。ところがこれをさらに二つに割るとちょっとつまんで食べられるファッショナブルなものになるし、調理もしやすくなる。

このサンプルをいろいろとためしていると、かなりの需要がありそうなことがわかり、では名前を付けて、販売してみようということになった。ネーミングは商品の盛衰を左右するもので、適切でシンプルなネーミングが必要である。「チキンスペアリブ」という案が出たとき、ある石頭のその筋の教授が「チキンにスペアリブなんて名前はない」などと言っていたが、ユーザーにとって実にしっくり来る名前なので、教授の言うことなど無視して、この名前にして、ヒット商品になった。今から20年程前のことだった。

 

東南アジア各国や、反対に米国の高品質スーパーマーケットには、チキンのモミジ(足先)が通向きの部位として販売されている。スープにするととても良い味になるのだ。徳島の鶏肉メーカーに行ったとき、モミジをどうしているか聞いたところ、国内には売れないので、香港に輸出しているということだった。そこで著者の家庭用として少しばかり送ってもらうよう頼んだ。

冷凍の宅配便で届いたので、家内に渡し、冷凍庫に入れておくように言ったら、少しの間を置いてキッチンから「キャー!!」という悲鳴が発せられた。日本で売れない理由がわかった。しかし無理もない、3キロパックが3つも入っていたのだ。

1パックをでかい鍋に入れ、塩、香辛料、くず野菜を入れ、シマー(煮立たせないようにゆっくりと煮る)でスープにし、そのまま味わったが、残り大半を、濾して丼に入れ、冷蔵庫に入れて冷やした。翌日見ると、脂肪が上に層になっているので、それをスプーンで取り去り、逆さにして皿の上に落とすと、モミジスープのゼリー風になる。これをスプーンですくって食べながら白ワインを飲むと最高だ。

徹底的にスープを出してしまう方法も良いが、モミジが崩れない程度に煮込み、モミジの周りのゼラチンをなめまくるのも絶品だ。ただし、指を外しながらしゃぶるイメージになるので、女性は気持ち悪がるだろう。やはりスープゼリーにして製品化を考えたほうが良いかもしれない。

鶏のしっぽの部分をボンタとかボンチとか言う名前で串に刺して焼き鶏にしているところがある。脂があって、なかなか美味しいものである。カッパと呼ばれる軟骨を串に刺した製品も見かける。こういったものを、そのまま拡販するなり、スープにするなど全く別のデリカテッセンなどにするなどの工夫で、新製品にすることが出来ないか、考えてみたらいかがであろうか。

 

食肉や魚は、端材や食べにくい部分、少ししか取れない部分に美味しいところがある。例えばヒラメやカレイの縁側。先日、大型のカレイを煮付けたメニューが出て来たので、縁側から飛びついた。縁側をごそっと外し、一本一本の骨を外して丁寧に外しながら舐め、焼酎の番茶割りを飲んだら口内は豪華絢爛状態で、気分は半分天国だった。上下の縁側を食べた後、今度は頭を外してしゃぶりながら、カレイの頭蓋骨の構造を観察していたら、すぐに無くなってしまった。残った本体は今まで食べていたのと比べたら雲泥の差なので、一緒にいた人にあげてしまった。

シアトルのカニとオヒョウの大手加工工場に行って、1メートルもあるオヒョウの加工工程を見ていたら、頭と縁側を外してから、残った肉をステーキ用にカットしている。私は頭と縁側が気になって仕方ないのでどうするのかと聞いたら「捨てる」という。そこで日本での縁側人気を話したら「それは聞いたことがあるが、そんな細かい仕事などやってられない」ということであった。でも、日本向けにこの縁側の骨を外して寿司用の食材に加工している工場はちゃんとある。もったいないことだ。余談だが、回転寿司で縁側というメニューがあるので、最近の若い人は「縁側」という魚がいると思っている人がかなりいるようである。

 

米国のスーパーには薄く軽いせんべいみたいな菓子が販売されている。これは豚の皮を揚げたもので、大きなパックは子供の枕ほどもある、なかなか人気のようだ。何も言わないで日本人に食べさせるとおいしいと言うが、正体を話すとギャッと悲鳴をあげる人が多い。これを鶏肉の皮でやったらどうなるのだろうか?

話はあちこち行くが、いつも行く京都の小料理屋では、私向けに鯛の皮をサラマンダー(魚を焼く簡易オーブン)で焼いてくれる。これを焼くには、皮をただサラマンダーに乗せておくとクルクルと丸まってしまうので、菜箸で押さえたりひっくり返したりを頻繁にしなくてはならない、結構面倒くさいのだ。出来た鯛の皮せんべいは実においしいものである。鶏の皮を例えば型に固定して加熱し、鶏皮せんべいでも出来ないものだろうか。
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