デリ、総菜、いろいろ提案2

2013/05/25 6:51 に 松本リサ が投稿
味の均一化


デリの商品化が進んでいくと、アイテムが増え、味の調整が次第に複雑になっていく。レストランの厨房では、チーフとなるコックがいて、作るメニュー全ての状態を見るのだが、スーパーマーケット、小売店のデリにおいては、パート、アルバイトに教えて、彼らが作業をすることが多い。そこで重要なのが、味の均一化である。

あるデリストアで、味が時々不安定なため、そこのトップに聞いてみたら、お客様からもよく言われるということであった。一番多いトラブルは塩である。最近の減塩志向もあり、塩味には特に消費者は敏感になってきた。均一化するために最もいい方法は、マニュアルかしかないのだが、さらに、粉類はメニュー毎にミックスしたものにしていくことである。

塩、調味料、スパイスなど、粉になっているものならば全てマニュアルにそって、粉の部分だけ最初にミックスした独自の「ブレンド」を作ってしまうのである。こうすると、ミックス、調合する時間を節約することが出来る。忙しい時間に、加熱調理をしながら調味料をいくつも入れるということがなくなって、作業も早くなる。もちろん調合の時間が別に必要になるが、それさえしてしまえば、責任者が調理しても、アルバイトが調理しても、常に短時間に、同じ味を作り出すことが出来る。時間があるときに、1週間分でも作っておけばいい。作ったブレンドは、湿気の少ないところに保存しておく。冷蔵庫の中が一番いい。

全てのメニューをこれでやる必要はない。アイテムによっては、1〜2種類の調味料でいいものもあるし、こういったものが多くなってきている。しかし、インストアで味付けをするアイテムは、ブレンドしておくべきである。また、製造量が多くなってきたら、調味料メーカーや、スパイスメーカーに相談してみたらいい。いまよりもっと良い味のものを、安く作ることも出来る。そうすれば、店内でブレンドをすることもなく、安いコストのものを買えばいいことになる。


パッケージング


パッケージングというのは、中の商品の品質とは関係ないのだが、このデザインによって、売れる、売れないが決まってくる。

旧式の透明のトレーを使っていた店で、全てのトレーを新しいデザインの「角切り」トレーに変えたところ、商品構成や品質は前と同じなのに、売上はすぐに10%上がってしまった。

また、同じ品質、同じ量、同じ価格だが、ほんの少しのトレーの違いと、使うラベルの違いがある2つのメーカーのミートデリ製品があったとき、どちらが売れるのかわからなかったので、1週間ほど隣り合わせのフェースにして販売してみたところ、片方の製品が圧倒的に売れたこともある。

食肉ではなく、洗剤の例だが、米国のメーカーが新しい洗剤を作り、3つのパッケージを作った。この3つのパッケージを数百の家庭に送り、「どれが一番汚れが落ちるか」というアンケートを求めた。もちろん中身は同じである。結果は、ある1つのパッケージが圧倒的に落ちる、と出た。汚れが落ちるイメージの箱があったのである。

このような例でわかるように、どういったトレーを、どのように使うのか、タレやスパイスなどの添付物はどうするのか、肉の下に、サニーレタスなどの野菜は使うのか、ラベルはどういったものを使うのか、といったことを考えてパッケージをしなければならない。

慎重に検討して、いいものを作り上げてしまえば、後はラインにのって売上が伸びることになる。いい加減なパッケージングをしてしまえば、中身がよくても、売れない。


ローテーション


「ロス」になるものは、単純な数字として捕えてはいけない。少なくとも二乗、現実的には、3乗と見なくてはならない。

捨てたものを「損失」としてだけで見るのならば、単純なマイナスでいいかも知れない、しかし、その捨てたもの、あるいは、値引きしたものを、全く新しい商品として販売できるならば、マイナス分が、売上として出て来る。さらに、その商品で利益をとることが出来れば、マイナスになってしまうものから逆に利潤を得ることができる。そうなると、単に利益だけにとどまらず、材料素材の鮮度にも影響して来る。なぜならば、今までは前日の日付のもの、鮮度落ちして変色したもの、値引きされたもの、ドリップの出たもの、等が並んでいたのが、このローテーションが出来るようになると、そういった「売り場を汚くするもの」が無くなるからだ。

具体的には、野菜類の鮮度が落ちないうちに、煮物に調理してしまうといった方法である。家庭の主婦が、冷蔵庫の中をみて、無駄の内容にメニューを考えることと同じである。これは、それほど難しいことではない、店で少しの工夫をすればいいのである。


リアルタイムで出す


デリは買う時間のピークがある。昼食用のメニューならば、昼前、夕食用のメニューならば、夕方。当たり前のことだが、このお客様が買う、買いたい時間に合わせて品ぞろえをすることが重要である。ところが、実際の作業は、ピーク時に合わせたことをやっていないことが多いものである。作業効率から考えたら、同じアイテムを集中して作ってしまうほうがいいからである。

夕食向けのメニューなのに、作り始めたのが午後一番だった場合、そのときに1日に販売する分を、一気に全部作ってしまうとどうなるだろうか。売り場には大量に並ぶだろうが、並べ終わってから実際に売れるまではかなり時間がかかってしまう。そうなると、夕方のピーク時までに、作った商品の鮮度が落ちてしまうことになります。

加熱調理済みのデリならば出来立て、半加工品は、「下処理を仕立て」の状態で販売しないと、見栄えが悪くなってもしまう。カレーやシチューならば、トレーに入れたままだと乾いてしまうし、半加工にしたパン粉をつけた商品ならば、パン粉が肉のドリップで汚れてしまう。また、午後一番に、夕食用の材料を買うお客様は、そんなにいない。それなのに売り場は山になっているのではおいしいデリは販売できない。

作業は、売れる時間に合わせて作ることである。予想販売量は、平均販売量に、その日の天候、曜日、祭事、その他の条件を考えて決めていく。


グレージング


「グレージング」とは、量的には少なくていいから、たくさんの種類の料理を食べたいことを言う。例えば、食事情がよくなかった時代は、一汁一菜で、おかずを一つに、汁物を一つ、という食事だったが、食生活が豊かになるにつれて、おかずの数が増えてきた。最近では、カロリーの取り過ぎで、たくさんの量を食べることを嫌うようになったが、色々な料理を食べたいという欲求が強くなった。そこで、一つの料理の量は減らして、料理の数を増やした食事をすることがトレンドになってきたのである。

このグレージングというのは、元々、牛が草を食べるしぐさから来た。草を反芻しながら食べ、少し離れたところの草をまた食べ、といった様子からである。このグレージングの考え方は、商品を作るときにこれから大変重要なものになってくる。「たくさんの料理を食べたい」けれども、「面倒な料理はしたくない、出来ない、時間がない」という状況なのであるから、ちょっと手を加えるだけで出来る商品、しかも、本物、一流の味のものが必要になり、そして、量的には少なく、という条件になる。

半加工品と、調理済み商品をうまく組み合わせて、家庭のグレージングのニーズを満たすことができる商品構成、アイテム設計が重要になる。
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