出来立てソーセージ

2013/05/23 18:12 に 松本リサ が投稿
小規模ながら無添加のソーセージを作り、宅配、レストラン、スーパーマーケットなどに販売している、工場というよりも、店頭で小売りもちょっとしている加工品メーカーに、セミナー用の写真撮影に行った。ソーセージの製造工程を撮り、HACCPのセミナーのモデルにするためだ。

こことは長いつきあいなのだが、だいぶ以前、今回来たこの場所に移る前の工場にしか行ったことが無いので、どんなところでやっているのかも興味あった。

店売りは、陳列ケースを置いてあるわけではなく、ソーセージを作っている小さな工場が、できた製品を知っている人に販売するだけで、商品リストと、ドイツで修業したマイスターとの写真などが飾ってあるだけだ。

お客さんの注文を受けて、冷蔵庫の在庫から販売するだけ。まあ、ついでに売っているみたいなものだろう。

そこで、コーヒー店チェーンで、店頭で他の店と比較にならないほどコーヒーを挽いた粉を販売している店のことを思い出した。

 

そこは、あるカフェチェーンの、東京と埼玉を結ぶ私鉄沿線の店で、カフェの売り上げではなく、店の前で販売している挽いたコーヒー粉だ。何しろ、店頭売上の一般的なところと比べて一桁多い売り上げだという。

どうやって売っているのか見に行った。

このカフェショップの店頭は、一見乱雑と見えるのだが、ちょっと違う。活気がある乱雑さ、いや、乱雑ではない、店頭商売の経験たっぷりの状況だ。

そして、隣には話に聞いていた果物屋がある。

果物屋の店頭というのは、段ボール箱を台にして、ボリュームたっぷりの陳列販売をしているが、その果物屋の陳列状態のまま、このカフェショップの店頭売り場がつながり、果物の代わりに、コーヒー豆、粉、関連商品を売っているのだ。いわば、果物、八百屋的コーヒー販売なのだ。

それもそのはず、このカフェショップは、この果物屋がやっている。

さて、コーヒーはどうやって売っているかというと、段ボールに

「今日のコーヒーの到着時間」が書いてある。

配送車の状況を見て、何時何分頃に店に到着すると、乱暴な字で、コーヒーが入っている段ボールの裏側に書いてある。

そして、その時間が近づくと、店の前には顧客が並び始める。

配送車が着いた。コーヒー粉を入れた段ボール箱がどんどん降ろされる。店頭に積み上げ、箱を開け、

「ハイ、ひき立て香り最高潮のコーヒー、到着しました」

どんどん売れていく、何袋も買っていく人もいる、段ボール箱はどんどん空になる。

なるほど、活きの良いコーヒーというわけだ。

 

ベーカリーでこの方法はずいぶんやられている。

「次のパンは、○○で、何時ごろ焼き上がり」と表示され、時間になると顧客が集まる。

吉祥寺の商店街「サンロード」の中に、小豆を使った小さな和菓子屋があり、毎朝早くから開店前なのに並んで待っている人たちが入る。ここの菓子は、近くにある工場で出来る量に限界があるため、販売数は限られていて、必然的に並んでしまう。私は甘いの駄目なので、知らないが、とてもおいしいそうだ。

 

さて、小さなソーセージ工場。

ソーセージの作り方というのは、ひき肉と脂肪を高速カッターでカットをする。この時氷を入れる。

なぜ氷を入れるかというと、高速カッターでカットをすることで温度が上がる、その温度が上がりすぎないためと、同時に、エマルジョンといって、肉の赤身と、脂肪、それに水を、高速カットをすることで「乳化」させ、軟らかさを出すためだ。このエマルジョンをうまく行なうのがマイスターの腕の見せ所でもある。

この工場は、この氷の代わりに、一部を豚のスジから取ったスープを凍らせて、それを入れている。

そのあと、ケーシングといって、羊腸に入れてソーセージの形にし、薫煙、加熱後、シャワーで洗い、冷却して、パックする。

そこで、この薫煙加熱後のまだ出来立てのソーセージ。実はこれが最もおいしいのだが、この製造工程からいって、これを食べられるのは、工場の人しかいない。何しろ冷却し、パックして出来上がるのだから。

製造工程を撮影し、最終の薫煙加熱工程に行き、スモークハウスに入れたら、あとは一時間ほど加熱が終わるのを待つしかない。どうしようか考えた。あとの撮影はこのマイスターにまかせて帰ろうか、いや、出来上がりのソーセージを食べてから帰ろうか。

そんなことを考えていたら、マイスターは言った「あと、仕上がりを待つだけですけど、どうします? 撮影して送りましょうか?」

まるで私の迷いを読まれているようだ。

そこで、ひらめいた。

店頭に「今日のソーセージは、何時ごろ出来上がります」

スモークハウスから出来立てのソーセージが出て来る。

並んだ近所の顧客を見て、適当に温かいソーセージを店頭にでかいバットにでも入れて出す。

顧客は「十本ください」「私は五本」という。

本数分、つながったまま量り売り。

出来立て販売、考えてみませんか?
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