串刺し

2013/05/24 1:10 に 松本リサ が投稿
ポピュラーで、なじみがあり、良く売れているアイテムだが、まだまだ工夫の余地があるアイテムでもある。代表的なのは焼鳥だが、ただ鶏肉を串に刺すというだけでなく、そこにこだわりを入れたり、調理のしやすさを入れたりなど、開発の方向をいくつかあげてみる。

プレクッキング

総菜や店頭での調理済み、焼き立て状態の販売で困るのは、例えば炭火で焼くとフレーバーが付いてより美味しくなるのだが、時間がかかるため、ピーク時の販売タイミングロスがもったいない。顧客が殺到する夕方や、フードサービスにおける夜のピーク時に、早く調理を捌くことが出来れば、売り上げも急拡大することになる。そこでプレクッキング(予備調理済み)の方式が出て来る。プレクッキングの方法は、あらかじめ素焼きにしておき、顧客に提供する直前に温める方法なのだが、提供時の加熱を電子レンジでやってしまっては、美味しくないうえに、顧客に見せることが出来ない。顧客にとっても良いし、美味しくするためには、炭火での仕上げ加熱である。そこで、串に差した後、スチーマーでプレクッキングしたり、パウチクッキングといって、真空パックにしてからスチーマーで加熱をしたり、ウオータークッキングといって、真空パックしてからボイル槽に入れる方法などがある。真空パックにすれば味が逃げない、スチームするのもボイルするよりも味が逃げなくて美味しく仕上がる、美味しさを逃がさないでプレクッキングするのである。そして重要なことは、その時の温度になる。

仕上げ加熱をするときに、現場での調理技術やシステムで温度が万一低くても安全にするのならば、プレクッキングで75℃にする必要がある。この方式が安全で数多くの店舗に供給するためのシステムになる。この欠点は、二回完全な調理をすることになるので、美味しさが半減するということである。美味しく仕上げするための方法の一つとして、プレクッキングでは表面を加熱するだけとか、半生の状態で終え、それを仕上げ加熱するときに、きちんと75℃まで中心温度をあげる方式になる。この方式で重要なことは、仕上げ加熱で、低温になってしまえば食中毒菌の生残で食中毒の危険が出て来るし、怖がって温度を上げすぎてしまえば、ジューシーでなくなり、硬くなり、美味しくなくなる。

どちらの方式が良いかは、仕上げ加熱の安定度などで判断すればよいが、チェーン店にセンターからプレクッキングを配送して、店で仕上げする場合、現場がパートアルバイト中心ならば、プレクッキングを完全にしておいて、店では例えば炭火を顧客に見える場所において、そこで仕上げ加熱をすると良い。店の技術がしっかりとしていて、安全だということならば、半調理をしたものを店舗に運んでも良い。

串の工夫、調理の工夫

大阪は串揚げが名物だが、ある店舗では串の長さをアイテムごとに分けてあるのだが、実は串の長さによって販売単価が分けてある。顧客は食べ終わった串を目の前の茶わんの様な串入れに入れていくのだが、会計の時にこの串を分ければ直ぐに「おあいそ」が出来るようになっている。

串で高級感を出すためには鉄砲串を使うが、その鉄砲串の柄、指で持つところにその鶏肉のブランドの「名」を入れているところがある。焼き印方式なので、ナチュラル感も感じられるわけだ。

串は焼き物ばかりではなく、煮物鍋物にも活用できる。おでんのスジ、つくねといった鍋物定番アイテムが売れるようになれば、年間を通して串刺しアイテムを安定して売ることが出来る。

関西のある総菜加工工場では、40センチぐらいの巨大な牛肉のバーベキューを作っている。太い串で、これにハラミ(アウトサイドスカート)を刺すのである。こんなのをどうやって販売するのかと聞いたラ、屋台をたくさん持っているところからの注文だそうだ。これほどでなくても、普通のバーベキューは次第に売れるアイテムになってきているようだ。

大阪の串揚げとは違って、細く長い串の先に食材を1つだけ指し、フードサービスの顧客のテーブルに油鍋を置き、顧客が自分で揚げながら食べるシステムも良い。焼肉でもお好み焼きでもそうだが、店側が調理をするのではなくて顧客が自分で調理をするフードサービスが盛んだ。この方式は店側が楽だということもあるのだが、顧客は自分で調理する面白さを求めているわけである。すきやきでは難しさがつきまとうが、揚げるだけ、焼くだけならば、誰でも出来、調理度も顧客の好みで出来る。最も良いことは、顧客は自分で調理した料理について文句は言わない、ということなのである。

刺し方の工夫

串の先端に黄色い食材を刺すと良く売れる、ということに気がついたのはある関西のスーパーマーケットの食肉販売担当者だった。扇型スライスカットにしたカボチャ、小さく1/4カットにしたコーンを串の先っぽに刺すと良く売れるのである。どうしてか分からないがこうすると売れるので、多くの串刺しアイテムの先端が黄色くなってしまった。この理由について知りたかったのであるカラーコンサルタントに聞いてみた。カラーコンサルタントというのは、建物でも車でも家電でも食品でも、どのようなモノでも色による心理的効果があり、そのモノによって、売れる色、売れない色があり流行の色があり、最先端の色があり、更には色そのものがブーム、トレンドとなるのである。これは、パソコンのマッキントッシュのiMACのヒットで分かった通りである。そして分かったことは、黄色は食欲をそそる色だということなのである。しかし、全てが黄色ではダメで、ワンポイントに黄色を使うとそれが食欲をそそるパッケージになるということであった。これでなるほどと思ったのは、広島のあるスーパーマーケットで牡蠣のパッケージを選定するときに、1つは何も特別な色を使ってないパックと、もう一つそのパッケージを製造しているメーカーの黄色のロゴマークがついたものをしばらく並べて売ってみた所、ロゴマークがついたパッケージが圧倒的に売れたことがある。味も、重量も、使っているトレイも、価格も変わらないのに、パッケージで変わってしまったのであるが、串刺しの先端黄色事件でこの牡蠣の理由も分かった。
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