アウトパック

2013/05/24 18:19 に 松本リサ が投稿
アウトパックとは、小売店、販売店舗で商品を造ったものをパッケージするのではなく、納入業者にパッケージまでを依頼する方法である。自社のセンターでパッケージまですることあるが、だいたいは取引先、仕入れ先にパッケージしてもらう方法をさす。これをデリ、総菜で行った場合、どうなるか。

・ アウトパックの良い点としては、

1.人手の問題がある程度解決する

2.・ カッティング、味、盛り込み重量、使用ラベル、トレー、といった商品設計をしなければならないので、商品開発センスがでてくる。

3.作業が楽になった分だけ他の創造的作業、例えば、インストアでのデリの拡充、販促体制の強化、試食販売の定期的実施、例えば毎日夕方、といったことが出来る。

弊害としては、

1.作業が多少楽になった分、他の改革的な作業に取り組まない場合、店の衰退のスタートになってしまう。

2.メーカーからの商品をそのまま店におけばいいという感覚で、店の開発意欲がなくなる。

3.鮮度と品質の低下問題。

4.技術レベルが企業全体にジワジワと低下してくる。

といった良い点と弊害がある。

食肉製品の場合、どのようなことになるか考えてみよう。


牛肉タタキの場合


店で商品作りをするにはかなり衛生に注意しなければならない。衛生状態の悪いところでパッケージングしているのをよく見かけるが、いつ事故が起こるか気が気ではない。あるローカルスーパーではそういった設備がないので、敢て危険なインストアでの商品作りをしないで、メーカーに依託している。タタキのアウトパックである。メーカーは小さい規模だがクリーンルームを作って対応している。

また、東京から2時間ほどのところにあるメーカーがやはり小さなクリーンルームを作り、近場のスーパーマーケットにパッケージングされたタタキを卸し初めたところ、他のスーパーからもあっというまに強い要望が来た、「ウチにも入れてくれ」となったのだが、すぐに製造能力いっぱいになってしまった。

このタタキに対するスーパーマーケットからのニーズは人手と衛生上の問題から相当のものがある。クリーンなタタキを作ってくれるところがあり、その日の日付で持ってこれるところがあったらアウトパックでもいいのではないか。


ローストビーフの場合


原料をインストアでローストすればいいのだが、オーブン、ローストの技術、手間、と重なると、アウトパックになることが多い。ローストビーフを焼くのに、うまく焼くと歩留りは90%にもなるが、へたに焼くと75%程度にもなってしまう。この差の15%というのはそのまま利益になって跳ね返ってくる。

今はインストアでも焼ける小型のオーブンがいくつかのメーカーから出されているが、それを店で使えないならば自社センターで集中して焼くか、メーカーから買うしかない。

店に入る形は、最も原始的なのがロースト済みのブロック、その次の形がすぐにスライスが出来るようにサクにしたもの、そして最終的な形はアウトパックである。このアウトパックの場合、やはり鮮度と日付の問題が出てくる。その日の日付の物を朝店に納入できるのがベストである。そうでない場合、スライスしたものを、500グラム、1キロといった単位でガスパックにして店に納入し、店でそれをパッケージするという方法がある。これだと日付の問題がクリアされるし、インストアでのスライス作業も必要なくなる。但し、切り落としのようなスライスでないとうまくいかない。

これからローストビーフを売り込むためには、ストリップロインを使ってしっかりとトレーに並べたものよりも、値頃感のある、カタ、モモなどの安い部位を使ったローストの切り落としスタイルの方がいい。サラダやサンドイットなど用途も多いし、気軽に使える。

この切り落としを販売しても、価格の高いサーロインなどのローストビーフはちゃんと売れるので心配しなくてもいい。かえって新しいローストビーフのお客様を作ることになる。


D+0のアウトパックを店に入れるためには深夜作業、早朝納品の日配と同じ体制


コンシューマーパックに入れ、0時を過ぎてから日付をうち、その日の早朝に店に納品する体制が必要になる。こうなると、日配の納品体制になる。このアウトパックを行なうセンターとしては、立地もおおいいに関係する。それは人手の問題も含んでである。

例えば首都圏のスーパーマーケットに納品するためには、深夜の人手が確保できることと、物流費がそれほどかからず、深夜に最終的なラベルを貼り、それからトラックで運び込んで早朝に間に合うためには、例えば福島とか、茨城の北とか、群馬、山梨、といった所になってくるのではないだろうか。


デリ、総菜はこれからも伸びていく。インストアですべて手作りで出来ればいいのだが、現実はそうはいかない、また、たとえそれが出来たとしても、それにアウトパックを加えることによってより良くなる、相乗効果が出てくるのである。アウトパックの商品は、メーカーの製品と、自社の商品開発したものの委託生産と合わせてアイテムを次第に多くしていく。

消費者のニーズをいたずらに追いかけていくだけのアイテム拡大は、これからはかえって混乱を起こすし、効率が落ち、利益も取れにくくなっていくが、商品のハイグレード化と、ある程度の新しい商品によっての売り場の活性化と、新鮮な売り場を維持をするために、メニューの入れ替え、拡大をしていかなければならない。

それを限られた労働力でやっていくためには、アウトパックの商品を次第に拡充していくと同時に、インストアの製造とパッケージも同じように拡充していくのである。店内調理のデリ、総菜は常に新しい商品開発を続けていく、それが小回りのきくマーチャンダイジングにもなっていく。

そして、店内調理のデリ、総菜から売れるもの、長く販売できるものを作っていき、あるいは見つけていき、それをインストアで作っていたものと同じ形でアウトパック化するのである。これの繰り返しをすることによって、良い商品を、作業が増えることなく増やしていくことが出来るのである。そして、ミートデリ全体のアイテム数と売上をしっかりと増やしていくのである。

売り場では、アウトパックとインストアパックを区別している店を見ることがある。それの方が陳列管理がしやすいのかもしれないが、買う側からすると、焼きとり類、味付け肉類、ハンバーグ類、燒肉類、といった様に、品群別になっているほうがわかりやすい。混在していて構わないのである。

総合食品「フードライフ」1998年11月号より
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