食のマーケティング

職業柄、、、というよりは美味しいものを食べることが生きがいなので、全国(世界)各地でさまざまな食との出会いがあります。
美味しい食と出会うたびに、新たな発見・食品工場に活かせるヒントがあります。
このページでは、さまざまな食に関して、私なりのマーケティング・HACCP的な視点からの意見を記事にしています。
安心・安全、そしてなによりも美味しい食へ・・・

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  • 生ハム
    最近になって、生ハムが売れてきている。

    元々生ハムは、日本のマーケットでは、一部のレストランメニューぐらいしか受け入れられなかった食材である。しかし、数年前に、いくつかの加工肉メーカーから、小売店用の商品が出て来たおかげで、少しずつ外食に浸透はして来ていた。しかし、価格がキロ1万円もするものだったので、高級品としてしか扱われなかった。しかしながら、昨年あたりから低価格タイプが生産されるようになってきたために、急速に一般マーケットに浸透してきている。

    元々高級な生ハムでは、骨付きモモ肉に、何度も塩をこすり付け、半年から1年もの間熟成をさせて作る。そのために、コストがかなりかかることになる。人手もかかるし、熟成期間のメンテナンス、バクテリアを入れないための設備費用が大変なのである。しかし、低価格の生ハムの場合は、一般的なハムを作るように、肉に塩水を注入(インジェクション)して、一気に味を付ける。更に、熟成期間も、1週間から2週間ぐらい、長いものでも1月という短期間で仕上げる。味付けも、熟成期間も、コストダウンをしているのである。

    生ハムを使ったメニューで「古典」は、メロンの上にのせたオードブルだろう。メロンの切り身の上に、スライスをした生ハムを乗せただけのものだが、生ハムメニューの定番とされている。しかし、価格がヨーロッパ並みになってきたので、このような高価格タイプのメニューだけではなく、もっと一般的なメニューに使えるようになってきた。サンドイッチや、サラダなどである。こういったメニューならば、デリ、惣菜向けにも十分使える。

    生ハムのスライスの厚さは、薄ければ薄いほどいいと考えられている。しかし、余りにも薄すぎると、肉その物の味が無くなってしまう。また、スライスの方法も難しいし、スライスした後の扱い方も、薄すぎると難しい。生ハムを長年扱ってきている技術者に聞くと、最適な厚さは0.7ミリだということである。この厚さならば、生ハムの美味しさがあるし、扱いやすいし、少し温度管理をしっかりとすれば、それほど難しくなくスライスが出来る。スライスをする場合には、ブロック肉を半冷凍をした状態で行うと上手くいく。

    生ハムにする豚肉の部位は、骨付きのモモが一般的である。しかし、デリ、惣菜に使うには、骨付きモモでは扱いにくいし、量的にも1本丸ごとはなかなか使えない。そこで、最近の低価格生ハムは、ロース、肩ロース、それにバラも使って作っている。このような部位を使うことによって、使い安い量を業務用として流通させることが出来る。バラを使ったものは、サラダ、サンドイッチに気軽に使える。豚肉だけではない。牛肉のロースや肩ロースを使ったもの。合鴨を使ったものなどもある。

    原料のタイプとしては、ブロックと、スライスパックがある。もちろんブロックの方が絶対的に安く手に入るので、スライスを店で出来るならばそのほうがいい。しかし、一般的には、設備と、人手の問題で、スライスパックを買うことになるだろう。スライスパックならば、小売り用のスライスパックと同じように、きれいにスライスしたものが並んで真空パックされているので、扱いやすい。ロスも出さないで使える。

    サンドイッチはヘルシー嗜好と簡便志向で売れてきている。そんな中で特徴を持たせるためには、パンにこだわるか、メニューにこだわるかになる。生ハムでは、メニューと食材にこだわることになる。更に、高品質なパンを使うことで、大きな特徴を出すことが出来る。短期間に作った生ハムでも、サンドイッチに使うならば十分にその味を活かせる。

    サンドイッチに入れる加工肉類としては、ローストビーフが最近流行っている。高級品だったローストビーフが、原料の牛肉が安くなったのと、調理方法がよくなってきたために、低価格になったからである。牛肉原料としては、パストラミや、関税の安いコーンドビーフも使いだされている。これに生ハムが加われば、サンドイッチメニューに更に広がりが出て来る。使用するパンも、フランスパン、ソフトフランスパン、ナチュラル嗜好の胚芽パンなど、実に多彩な組み合わせが出来るようになってきた。

    サラダメニューに使うには、スライスした生ハムを、更に一口大に切ってから使う。メーカーの方で、もしこの生ハムの「切り落とし」などが出ているならば、安く出してもらいたいものである。サラダ用に十分に使える。最近イタリアンメニューが伸びているが、イタリアンサラダには、生ハムはぴったりである。

    イタリアンメニューと言えば、ピザである。生ハムをピザに気軽に使えるようになってきた。薄手の記事に、山のように野菜と生ハムを乗せたピザを出しているところもあり、人気である。更にスパゲティにも使える。

    高品質の食品を売る、東京のあるスーパーマーケットで、先日からこの低価格の生ハムを売り出したところ、大変な売れ行きだった。試食販売をしながらのスタートだったが、予告はしなかったにもかかわらず、記録的な人気だった。試食販売の場所は、売り場の最後の方で行っていたのだが、売り場の最初に玉って置かれていた商品もどんどん無くなっていっていたので、もし試食販売をしなくてもかなりの売れ行きだったはずである。また、静岡県のある中堅スーパーマーケットでは、最近売れている食肉加工品を調べてみたところ、伸び率で生ハムがトップだった。このような現象は、この地方スーパーマーケットにとって、始めてのことだった。東京の高感度スーパーマーケットで売れるのはある程度理解出来るとしても、何も販促もしていない地方スーパーマーケットでも売れ出したというのは、確実に生ハムの時代が来たことを示す。

    総合食品「フードライフ」95/11月号より
    投稿: 2013/05/25 17:10、松本リサ
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