効果的な方法のひとつとして「毎日の1分間ミーティング」がある。テーマをひとつに絞って、それだけについての教育をする。テーマというのは例えば「粘着ローラーの使い方」で、なぜ使うのかについて「髪の毛は普通の人で一日平均50本ほど抜けます、埃も着替えるときに作業衣に付着します、これを放っておくと製品に混入してしまいますから、粘着ローラーを丁寧に使って取り除く訳です」という事を教えたうえで、実際に髪の毛が混入クレームの事例を見せる。ただ粘着ローラーを使えというのではなく、なぜ使うのかを教えるわけだ。そんなことはわかっているだろうと思うかもしれないが、はっきりと教えることによって、強制的に使わせられるという感覚から「大切なことなんだ」という実感になり、使い方が違ってくるものなのである。
次の日には「粘着ローラーのかけ方」について1分間教える、次の日は今度は「手の傷やあかぎれについて」で、「傷には黄色ブドウ球菌があり、これが食品に混入すると急性の食中毒になります。事例のひとつですが2000年夏にあった牛乳事件では、この細菌が作り出したエンテロトキシンという毒素が原因で何千人もの食中毒が出たのです。ですから、手袋をするのです。あまりひどい場合には食品を直接触るラインに治るまで入らないように配置を考えますから言って下さい」という。
こういった形で毎日行なうのだ。毎日のテーマだが、食品衛生の本や参考資料、保健所などにあるパンフレットから作っていく。テーマは連続した話になる方法も良いが、これだとカリキュラムを設計するのが結構大変なので、ランダムに、脈絡が無くても良いから、気が付いたこと、とりあえず自分の工場にとって問題のあるものからはじめて行ったら良い。テーマはHACCPチームが作るわけだが、例えば100のテーマが出来たら、毎週5テーマづつ行なうとして20週分、5ヶ月近くの分が出来るが、これが全て終わったら、もう一度全く同じ内容をまた繰り返したら良い、くりかえして教えるわけである。あるいはそれまでの中で徹底されていないものを選んでそのテーマを選んでもう一度行い、これに新しい時事的なテーマを加えていく方法も効果がある。衛生教育を丸一日かけて集中的に教えるのもひとつの方法だが、まとめて教えても忘れてしまうし実感が伴わないことが多いので、少しづつ、毎日教えるわけである。